芽ばえ・苗の生長
【種子と発芽】
稲の種子は、もみと呼ばれ、植物学的にいうと果実(玄米)をもみ殻が包んだ形です。稲の一生のスタートは種もみの発芽から始まります。 |
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種もみが発芽するには、3つの条件が必要です。1つめが水です。種もみの重さの約15%の水を吸うと発芽を始めます。2つめが温度です。いくら水を吸っても、10℃以下の温度では発芽できません。また、逆に45℃の高温では死んでしまいます。発芽の最適温度は32℃です。3つめが酸素です。水中の酸素がひどく不足すると、発芽は異常になります。
種もみは、十分吸水し、32℃の温度におかれると、ほぼ1昼夜で発芽します。1ミリほどの芽と根が出て、もみはハト胸のような形になります。この時が発芽期です。また、この種もみを催芽もみと呼び、これを4月中旬に苗床(育苗箱)にまきます。 |
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【育苗期】
苗床(育苗箱)にまかれ、覆土された催芽もみの幼根は土の中へ伸び、幼芽は覆土を貫いて地上に出てきます。これを出芽と呼びます。幼芽や幼根は、もみの中の胚乳の養分を消費しながら生長します。
地上に出た幼芽は、鞘葉と呼ばれ、白色の鞘の形をしています。やがて、鞘葉の中から、緑の葉が伸びてきますが、この葉の葉身は見えないほど小さいことから、不完全葉と呼ばれています。続いて、不完全葉から、第1葉が現れます。この葉が完全に展開したときから、葉は光合成をおこない、根も自分の力で養分を土から吸えるようになり、苗は自力で生きてゆけるようになります。
次に出る第2葉は葉身が長く一人前の形をした葉になります。このころには、胚乳の中の養分はほとんど消失し、もみの中はからっぽになっています。 |
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【田植と活着】
水田に移植(田植)した苗は2~3日すると新しく根が出て、その根が伸び始めます。これを活着(かっちゃく)と呼びます。
稚苗が2.2葉のときが移植の適期なのは、活着根が伸びだす直前だからなのです。
活着の良否は、温度に強く影響されます。活着できる温度の最低限界を日平均気温でみると、稚苗で12℃、中苗で13℃ほどです。また、昼間の気温・水温は高いほど発根はよいとされ、17~20℃以上は必要です。 |
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2013年7月30日 21:19