葉・茎・根の成長
【分げつ期】
苗は活着すると、根元から新しい葉が現れます。以後、ほぼ7日ごとに新しい葉を出して生長します。新しい葉ほど大きく長くなります。この葉は、稲の茎にある節から一枚ずつ、茎の左右に交互に出ますが、若いうちは茎は伸びないため、重なって増えます。 |
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また、節からは分げつといって、親茎(主茎、主稈という)から枝芽が一本ずつ出てきます。これを一次分げつといいます。さらに、一次分げつの節からも孫分けつ(二次分げつ)がでてきます。
分げつ初期(6月10日) |
こうして苗として植えられた一本の稲は数十本もの茎に増える。しかし、田植では一株として5~6本の苗を植えるし、株数も㎡当たり20株程度ですから、多くの分げつの芽は退化します。一本から7~8本の分げつが出るだけで、ふつう一株では30~35本くらいの茎に増えます。
分げつ中期(6月20日) |
7月5日頃、水田はびっしりと稲の緑で覆われ、分げつは最高数に達します。この時期を「最高分げつ期」と呼んでいます。
最高分げつ期(7月5日) |
最高分げつ期ころの親茎では第10枚目の葉が伸び出しています。葉に包まれた茎の頂部、つまり芽(生長点)の部分では次々と幼い葉のもとを分化していますが、このころ以降、葉のもとを作るのを中止して、穂のもとを作り始めます。それは、穂の出る30日前ころです。
なお、最後に作られる葉、つまり茎のいちばん上につく葉を止葉(とめは)と呼びます。親茎の止葉は、早生品種で12枚目、中生品種で13枚目ですが、肥料の量などの栽培条件によって変動します。
【幼穂形成期と穂ばらみ期】
出穂25日前頃に、株元から5cmほどの間をカミソリで裂くと、節の上に1~2mmほどの白い産毛のようなものが出てきます。これを虫めがねで見ると、小さな穂のもとに、穂の枝のもとがいくつもでき、その枝にはたくさんの穂のもとが着いているのが確認できます。これを「幼穂形成期」と呼んでいます。
幼穂が1cmほどに育つと、その幼穂に形成された花のもとには、すでに雄しべや雌しべの形成が始まって、花のもとは次第に"もみ"の形となってきます。
幼穂形成期(はえぬき7月15日) |
そして、幼穂ができ始めると、今まで伸びることがなかった茎が急に伸び始めます。出穂の10~12日前になると、幼穂の中では生殖細胞としていちばん重要な減数分裂が行われます。雄しべのなかでは花粉が、雌しべのなかでは卵を中心とした雌性の生殖細胞が発達します。
幼穂全体は10cmにもなり、止葉の葉鞘に包まれて外からは茎がふくらんでみえます。これを「穂ばらみ期」と呼んでいます。このふくらみから、出穂が近いことを知るのです。 |
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【出穂】
穂ばらみになると、茎の伸長はさらに盛んとなり、幼穂を上にどんどん押し上げてゆきます。出穂の前日になると、一夜に数cmも伸びて、止葉の間から淡緑色の穂が顔を出します。出穂です。
出穂は、夏の真っ盛り、山形県の中生品種「はえぬき」は8月7日頃、晩生品種「コシヒカリ」は8月13日頃です。
穂の長さは20cmほどで、穂には8~10の節があって、この節から一本ずつ枝梗(一次枝梗)を出し、各枝梗からはさらに第二次の枝梗が分かれています。これらの枝梗に花がつきます。花の数は品種や栽培法、あるいは主稈と分げつ茎で大きく異なります。一株の平均値では「はえぬき」65粒、「コシヒカリ」75粒ほどです。 |
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2013年7月30日 21:08