アスク試験田における酒造好適米品種の玄米品質と気温との関係(6)

6 出穂前11~20日間、出穂後10日間の気温と玄米形状との関係
気温と玄米形状.jpg 酒造好適米品種の玄米形状(長さ・幅・厚み)は品種で異なり、例えば、出羽燦々は厚みがあり丸みを帯びるのに対し、雪女神は長さ・幅があり厚みは薄いという特性がある。
 玄米の生長は、気温や日照などの影響を受けるが、基本的には、開花して受精すると、子房はまず縦方向に伸び始め、約1週間で内穎の先端部にまで達する。このときに玄米の長さが決まる。子房が伸びるのと同時に、幅も増していくが、縦方向の伸びよりも遅く、もみ殻いっぱいの幅になるのは開花2週間後ころである。玄米の幅が決まるころ、胚乳にデンプンが蓄積しはじめ、玄米の厚さが決まるのは開花後3週間後ころである(後藤ら)。
 各品種ごとに、出穂前20日~出穂後30日までの最低、平均、最高気温を10日間区切りにした24区分の気温と、玄米形状との間で最も強い関係を示したのが上図である。気温と厚みにはいずれの品種も明瞭な関係を示さなかった。これは、調査サンプルがあらかじめふるい目幅2.0mmで選別されているためと考えられる。
 玄米形状と明瞭な関係を示したのが、出穂前11~20日間と出穂後10日間の平均気温である。すなわち、出穂前11~20日間の平均気温は中生品種に対し玄米長と、早生品種に対し玄米幅との関係が認められた。早生品種の玄米幅とでは2次曲線が当てはまり、その決定係数は0.9と高い値であった。この期間の平均気温は(1)で報告したように、もみ殻の大きさに影響し、その結果として玄米長、玄米幅に影響を及ぼしたと推察される。それにしても、出穂前11~20日間(穂孕期)の気温が、大粒(玄米千粒重26.5g)中生品種が粒長と、小粒(千粒重25g)早生品種が粒幅と、それぞれ特徴的な関係を示した要因は判然としない。
 一方、出穂後10日間の平均気温と中生品種の玄米幅とは明瞭な2次曲線の関係を示し、平均気温27℃以上では、いずれの品種も玄米幅は減少する。なお、雪女神は、玄米長も減少する。このことから、雪女神は登熟初期の高温によって、玄米の長さ、幅がともに減少したことから、高温による粒肥大が影響を受けやすいと考えられる。

2025年8月 6日 14:01