アスク試験田における酒造好適米品種の玄米品質と気温との関係(1)
弊社は平成17年(2005)に山形市本沢地区に酒造好適米品種の試験田を設置し、以来、令和6年(2024)まで県内で作付けされている酒造好適米品種の諸特性を解析してきました。令和7年、弊社の圃場に新規に試験田を設置したことから本沢試験田を廃止しました。そこで、これまで本沢試験田で20年間にわたって調査したデ-タの中から玄米品質を取り上げ、出穂期前後の気温と品質との関係を取りまとめることとしました。それらの結果は、逐次本ブログから報告します。ご活用ください。
1.出穂前気温と玄米千粒重との関係
各品種の出穂期前20日~出穂後30日まどを10日間毎に細分し、各期間の日平均気温(山形気象台による)と玄米千粒重との関係をみると、もっとも明瞭な関係を示したのが出穂前11~20日目の平均気温である。いずれの品種とも、出穂前11~20日目までの平均気温と千粒重との関係には2次曲線が当てはまり、その決定係数は早生品種で0.6、中生品種で0.5ほどであった。その他の期間では両者には明瞭な関係は見られなかった。
上図から、玄米千粒重が最大であった出穂前11~20日目の平均気温は、早生品種(美山錦・羽州誉・龍の落とし子)24.8℃、中生品種(出羽燦々・雪女神・出羽の里・山酒4号・酒未来)25.6℃と読み取れる。この期間は穂孕期間に相当し、穎花(もみ殻)の縦生長及び横生長のもっとも盛んな時期である。このことから、本期間の気温の高低がもみ殻の大きさに影響し、その結果として玄米千粒重の大きさにも影響を及ぼしたと推察される(松島)。早生、中生品種とも、千粒重が高温側で低下する要因は、高温によってもみ殻が小さく形成されたためか、また、もみ数が多くなるためか、などが考えられるが判然としない。なお、金山町出羽燦々の事例では、出穂前11~20日目の最低気温平均値と玄米千粒重には高い正の相関関係が認められている。
さて、本年(令7)は7月の平均気温は観測史上最高に近く経過し、新試験田の酒造好適米品種は出穂間近である。出穂前11~20日の平均気温は早生品種で26.3℃、中生品種で27.1℃で、これらの気温を二次曲線に当てはめると、玄米千粒重はいずれの品種とも最大値よりは0.5gは低下すると見込まれる(図中の↑)。
2025年7月24日 09:36








