飽差と立毛胴割れ
残暑も彼岸まで、暑く長かった夏から彼岸花が咲き乱れる秋が到来しました。秋雨で遅れていた刈り取りにもエンジンがかかっています。
さて、出穂後の高温乾燥は、立毛中の胴割れ粒発生を助長することから、北陸地方では胴割れの引き金となる"飽差"が注目されています。飽差(g/㎥)とは、1立方メートルの空気中に、あと何グラムの水蒸気を含むことができるかを示す値で、空気の乾燥程度を表しています。この数値が大きいほど、空気中により多くの水分を含むことがで、かわきやすい状態にあることを示します。
(注)新潟県の研究成果によれば、「収穫期近くのもみ水分が22%未満に低下した時期に、高い飽差に遭遇すると胴割れ粒が急増する。この時の飽差の目安はコシヒカリでは9g/㎥以上、新之助では6g/㎥以上である」。また、福井県も「玄米水分が25%に達して、日平均飽差9g/㎥以上の日に遭遇すると胴割れ率が増加する」との知見を得ている。両県とも、飽差に注目して胴割れの発生予測情報を提供している。
高品質酒造好適米の生産にとって、胴割れ粒の発生抑制対策はもっとも重要です。対策の一つとして生産者への飽差情報のタイムリ-な提供も有効な手法と考えられます。酒造好適米品種の飽差と胴割れ粒発生との関係について具体的データは持ち合わせてはいません。アスクの品質調査室には本年産酒造好適米品種のサンプルが各産地から持ち込まれています。これらサンプルの胴割れ粒発生と飽差との関連についても調査したいと考えています。とりあえず、飽差の値のみを求めました。
2024年9月27日 09:34