出穂後の高気温と酒米品質(4)

 <玄米たんぱく質含有率と心白未熟粒との関係>タンパクと心白未熟粒(1).jpg
タンパクと心白未熟粒(2).jpg 上図は、令5年産「出羽燦々」、「雪女神」の産地を込みにした玄米タンパク質含有率と心白未熟粒歩合との関係である。両品種とも、タンパク質含有率が高いサンプルは心白未熟粒歩合が低いという負の相関関係がみられる。
 玄米タンパク質含有率は穂肥量、穂肥時期と関係が深く、量が多いほど、施用期が出穂期に近いほど高まる。上図のタンパク質含有率が高いサンプルの栽培履歴は不明であるが、穂肥量が多い、施用時期が遅れたために含有率が高まったのでないか。すなわち、出穂以降も茎葉の窒素含有率が高いため、高温下にあっても光合成産物供給能力が維持され、白濁粒の発生が軽減されたのでないか。
 近年、良食味志向による低窒素施肥栽培が一般化しているが、登熟期の低窒素条件下では白未熟粒とくに背白粒や基白粒の発生を助長する、「山田錦」では、玄米タンパク質含有率が高い場合は、背白米の発生が低くなる(池上)、との報告がある。
 以上、酒米産地の現場から得られた二つの図は、高温年での品質維持のための栽培対応、とくに適切な穂肥対応(穂肥量、施用時期の分割など)が有効なことを示唆している。

kg/10あときうに

2024年4月26日 13:55