出穂後の高気温と酒米品質(3)

<玄米タンパク質含有率との関係>8月気温とタンパク含有量.jpg
 原料米のタンパク質含有率が高いと、酒のアミノ酸度が高まり、雑味が多くなるといわれ、含有率は低いほうがよい。一般的に、タンパク質含有率は千粒重や心白率とは異なり、気温の影響よりは土壌特性や施肥法などの栽培法の影響が大きいが、高温登熟での 令5年産サンプルではいずれの品種ともタンパク質含有率は高めであった。
 そこで、登熟期間の気温と玄米タンパク質含有率との関係を見たのが右図である。三品種とも、8月中旬の平均気温と玄米タンパク質含有率は正の相関関係がみられ、中でも、雪女神で相関係数は高い。
 これまでにも、米のタンパク質含有率は高温条件で増加するという報告がある。その要因として、高温条件では地温が高くなることで土壌窒の無機化が進み、稲体窒素濃度が上昇すること、千粒重の項で述べたように小粒化すること、白濁粒は整粒と粒サイズ(長さ・幅・厚み)に違いがなくとも粒重が低下することで、タンパク質含有量は高まると考えられる。
 高温によるタンパク質の組成の変化について、山田錦は高温で登熟すると、プロラミン含量の減少にともないグルテリン含量が増加することが確認されている。タンパク質の消化性はデンプンの消化性とは反対に高温により高まることや、タンパク質組成が気温の影響を最も受ける時期は出穂後11~20日目の登熟初中期であることが明らかになっている(芦田)。

2024年4月25日 12:19