良質酒米生産に向けた栽培技術のポイント(11)

YS37.jpg S37:本研修会で強調したいのが大粒の酒米づくりであり、以上に述べた栽培ポイントに加え、2.1mmのふるい目での玄米選別でフィニッシュを決めたい。大粒の酒米を作ることで、タンパクが低下し、心白が鮮明に入る、精米効率が高まる、このことが吸水の安定、安定した麹づくり、そして安定した消化性が得られ、おいしい酒を醸すのにつながる。
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 S38:玄米粒の大きさを決める玄米の長さ、幅、厚さの形状は出穂後の早い時期に決定される。玄米の長さは出穂後10日、幅は15日、厚さは20日頃に最大になる(星川)。
YS39.jpg S39: 金山酒米研究会、ゆびきりげんまんの「出羽燦々」の玄米形状「長さ×幅」と千粒重との関係をみると、当然ながら両者には高い相関関係があることが分かる。玄米の長さ、幅は内外頴、すなわち"もみ"の大きさに強く支配される(松島)。このことは千粒重は一義的にはもみの大きさに強く支配されることを示している。大粒の米づくりの一歩は、"もみ"を大きく育てることにある。それには適正な穂肥対応によって、一穂もみ数を多くしないで、もみを大きく育てることが重要。また、前述したように、中山間の生産地では穂孕期間に気温が低下するともみの生長が抑制されるので、保温的水管理などの対応が必要。
YS40.jpg S40: 一方、平野部で生産される酒米の玄米形状は出穂後の気温との関係が強い。アスク試験田での調査によれば、出羽燦々、雪女神とも、玄米の粒長、幅は出穂後の最低気温(夜温)、最高気温(昼温)と関係し、とくに粒幅の形成に強く影響する。すなわち、粒幅が決定される出穂後15日間の最低気温が22℃、最高気温32℃をピークとして、これより高温では明らかに減少する(データ数が少ないためさらに検討が必要)。

2024年3月28日 09:34