良質酒米生産に向けた栽培技術のポイント(1)

YS0.jpg 2月、酒米の生産者「ゆびきりげんまん」(新庄市)の皆さんに講演した内容を何回かに分けて紹介します。本年の酒米づくりに活用してください。
YS1.jpg S1:全国の酒造好適米品種(酒造好適米とは、大吟醸酒などの特定名称の酒の原料米で、米検査では醸造用玄米)の生産量は令和5年産(令5.12.31)でみると、全国で7万トン、数量がもっとも多いのが酒米の横綱山田錦で全数量の39%を占め、全国40県で作付けされている。次いで多いのが五百万石、新潟県をはじめ北陸を中心に作付けされている。3位が美山錦。雄町、秋田酒こまち、八反錦1号、ひとごこち、出羽燦々と続く。全国の産地品種銘柄の実品種数は125品種である。
YS2.jpg S2:山形県の産地品種銘柄は14品種、令和5年産の検査数量で最も多いのが出羽燦々、次いで、美山錦、出羽の里、雪女神、酒未来となっている。青色で囲んだ品種は弊社が独自に種子生産している品種である。県内の生産量は全国の4.8%。
YS3.jpg S3:酒造好適米と呼ばれる品種の特性は「理想の酒米を山田錦とし、その特性から第1に、粒が大きく、豊満であること、第2に、心白が粒の中央に鮮明にあること、第3に、タンパク質含有量が低いこと、そして第4に高度精米に耐え、無効精米率が低いこと。さらに、これらの品種特性を酒造適性と称し、酒造りに向く米は、酒造適性を一層高める栽培環境を与えることによって作り出される。どんな優秀な品種であっても、栽培環境が悪化すれば、酒造適性も劣化する。酒造好適品種のもつ心白があり低タンパクの酒米をよく精米して優良な酒を造る、酒米生産者と蔵元が共通の認識を持ってこそ、地酒王国山形が誕生する(小関氏)。
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YS7.jpg S4,S5,S6,S7:酒造好適米品種の農業特性、品質特性について、アスク試験田では平成17年から調査しているが、それをまとめたのがこの特性一覧表と標本、そして山田錦と比較した品種別の酒質のイメ-ジである。

2024年3月 5日 14:32