平成の大冷害から30年、一転して猛暑

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酒田・仙台jpg.jpg 1993年(平5)、東北地方は「平成の大冷害」に襲われました。30年後の2023年(令5)は一転して観測史上最高の猛暑。気候変動する中、米づくりにとって品種と栽培技術の大切さを改めて思い知らされました。冷害対策から高温対策へ。
 上図は、5~9月の半旬別平均気温の推移を、平5年の仙台と令5年の酒田について示したものです。両年の気温差の大きさに驚かされます。
 さて、平成の大冷害を契機に、山形や宮城ではササニシキから耐冷性品種「はえぬき」、「ひとめぼれ」の普及が一気に進展したことで作柄は安定化しました。その一方で、「冷害は忘れたころにやってくる」の教えはすっかり忘れられたようです。
 今や、猛暑は毎年やってくる、暑さ対策が米づくりの喫緊の課題になっています。 気候変動に対応した技術対策は、冷害年であっても、猛暑年であっても、土づくりにはじまり、水管理、施肥法などにありますが、経営規模の拡大に伴って、こうしたきめ細かな栽培法は導入できなくなってきました。代わりに、暑さに強い品種への切り替えが対策の基本であることを、今年の猛暑は教えてくれました。
 先日公表された令5年産米10月末の1等米比率によれば、山形県の主力品種「はえぬき」が37.2%、次いで「つや姫」は54.1%、「雪若丸」は88.1%で品種で大きな差がみられました。「つや姫」は高温耐性品種の言われていますが、それでも今年の暑さには耐えられなかったのでしょうか。同様に新潟県では「コシヒカリ」がわずか3.6%であるのに対し「新之助」は97.3%でした。
 本年の猛暑を契機に、高温耐性品種への比重は一気に高まるでしょうか。さらなる高温耐性品種開発への期待も膨らみます。

2023年12月 5日 10:55