"猛暑"品質低下に注意!

7,8月の平均気温の年次推移.jpg 上の図は1891年から2023年までの7~8月の平均気温(山形気象台による)の年次推移を表したものです。図中の赤線は10年間の平均値です。図から明らかなように、7,8月とも、右端の2011年からの赤線が一段と高く、近年の高温化が進んでいることを示しています。
 さて、全国的に猛暑の夏になっていますが、山形の7月下旬の最高気温は34.1℃、最低気温22.7℃、平均気温は27.9℃で対平年差はそれぞれ3.6℃、1.7℃、2.8℃高く経過しました。8月に入っても、猛暑が続いています。この気象経過は、猛暑で白未熟粒が多発し1等米比率が76%と大きく低下した2010年(平22)に類似しています。とくにこの年は酒米品質で低下が大きく、粒張り不良による小粒化、心白が大きくなりすぎることによる精米効率の低下、また、消化性などによる酒造適性の低下が発生しました。
 県内のはえぬき、雪若丸、酒米雪女神、出羽燦々は穂ぞろい期、晩生種つや姫も穂が出始めています。もし、今後10日間以上高温が続くと、胴割れ粒、白未熟粒発生による品質低下が懸念されます。高温による品質低下のメカニズムの一つが、高温による穂温の上昇と言われています。穂が高温になることで、稲体に生じる何らかの生理的変化が、玄米の白濁化に大きな影響を与えることが示唆されています。その生理的変化の一つは、高温によって胚乳細胞内のデンプン合成能力が早期に低下すること、二つ目は高温によって糖の輸送能力が早期に低下することがあげられています(森田敏:イネの高温障害と対策より)。
 そこで、穂温を下げる対策には氷枕をイメージすると良いでしょう。田んぼではかけ流し灌漑や夜間入水により、高温感受部である穂の温度を下げる方法です。2010年に、JA金山酒米研究会が地下水のかけ流しを行った結果、品質は低下しなかったという事例があります。水管理などの高温対策がこれからの品質向上の決め手になるでしょう。
酒田気温.jpg
   

2023年8月 4日 10:37