良質酒米生産に向けた栽培技術のポイント(9)

P32.jpg 32 本講演でもっとも強調したいのが大粒の酒米づくりであり、これまで述べた栽培のポイントに加え、大きいふるい目での玄米調製でフィニッシュを決める。大粒の米を作ることで、タンパクが低下し、心白がきれいに入る、精米効率が高まる、このことが吸水の安定、安定した麹作り、そして安定した消化性が得られ、おいしい酒を醸すのにつながる。
P33.jpg 33 玄米粒の大きさを決める玄米の長さ、幅、厚さの形状は出穂後の比較的早い時期に決定される。玄米の長さは出穂後10日、玄米の幅は15日、そして厚さは20日頃に最大になる。

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 34 金山「出羽燦々」の玄米形状「長さ×幅」と千粒重との関係をみると、当然ながら両者には高い相関関係があることがわかる。玄米の長さ、幅は内外頴、すなわち"もみ"の大きさに強く支配される(松島)。このことは金山産出羽燦々の玄米千粒重はもみの大きさに強く支配されることを示している。大粒の米づくりは"もみ"を大きく育てることにある。もみの大きさが形成される穂孕期間に気温が低下しやすい中山間の生産地では、とくに重要である(前述)。
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 35 一方、平野部で生産される酒米の玄米形状は出穂後の気温との関係が強い。アスク試験田の調査によれば、出羽燦々、雪女神とも、玄米の粒長、粒幅は出穂後の最低気温(夜温)、最高気温(昼温)と関係し、とくに、粒幅でその関係が強く表れる。すなわち、粒幅が決定される出穂後15日間の最低気温が22℃、最高気温32℃をピークとして、これより高温では明らかに減少する(データ数が少ないためさらに検討が必要)。












2022年11月14日 09:30