酒造好適米品種の玄米タンパク質含有率を推測する

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出羽燦々の葉色を測定(8月5日 金山にて)

 酒米の里金山の酒造好適米「出羽燦々」は8月3~5日にかけて出穂期を迎えました。4か所の葉色を測定した結果では平均36(SPAD値)、ほぼ平年並みの値でした。
 さて、酒米の玄米に含まれるタンパク質は酒造りに大きく影響します。酒造好適米は低タンパク質であることが求められています。タンパク質含有率が高いと、白米の吸水性が低下し、蒸米の消化性が悪くなります。清酒中のアミノ酸度が高くなり、雑味も多くなると言われています。
 米のタンパク質含有率は、収穫後に化学分析法(ケルダール法、燃焼法)や近赤外分光法で分析します。アスクでは近赤外分光装置で年間500点ほど測定しています。ところで、産米のタンパク質含有率が高いか、低いか、が前もって推測できれば、蔵元には有用な情報になるでしょう。
 推測法の一つが葉緑素計による葉色測定です。酒造好適米品種の穂揃期(出穂後3日目)の葉色(SPAD)と玄米タンパク質含有率には上図に示したような関係があるからです。
 アスク試験田の中生品種の葉色を穂揃期(8月2日)に測定した結果では、SPAD値36でした。上図(上)x軸の36の値をそれぞれの品種の回帰線に当てはめると、y軸の値は、出羽燦々7.5%、出羽の里7.0%、酒未来7.3%、雪女神6.5%とそれぞれ読み取れます。金山出羽燦々の葉色測定の結果では(8月5日)、SPAD値36でした。上図(下)のx軸の36を回帰線に当てはめるとy軸の7.4%と読み取れます。試験田、金山とも、本年産酒造好適米品種の玄米タンパク質含有率は平年並みからやや低めというところでしょうか。
 ところで、山形の2週間の天気予報(日本気象協会)をみると、8月9日から21日まで傘マークが並んでいます。この予報が的中すれば、日照不足が懸念されます。とすれば、タンパク質含有率は高めになるのでは?。

2022年8月 8日 11:02