アスク試験田、出穂を迎える

出穂.jpg出穂開花 (2).jpg アスク試験田の酒造好適米品種羽州誉、龍の落とし子の早生品種は出穂を迎えています。山形での稲の出穂は真夏の太陽が照り付ける最も暑い時期になります。2~3日後には中生雪女神、出羽燦々も出穂するでしょう。
 さて、穂全体が止葉葉鞘から出始めると、午前9時~12時ころにかけて先端の頴花から開花します。晴れた日には開花は短時間に集中しますが、曇天だと開花時刻は長引いたり、翌日に晴れると一斉に開花したりします。開頴すると、花糸が伸びて、葯は頴花の外に出され、残った花粉をすべて飛散させます。開花して2~3時間以内に再び閉じます。
 1穂内で頴花には開花の順序があり、出穂後ただちに穂の上位の1次枝梗の頴花が開花し、また、同じ枝梗内では、頂端の頴花がもっとも早く開花し、次いで最基部の頴花、それ以降は基部から頂端部へと開花していきます。開花直前に花粉の放出が始まり、柱頭に付着し受粉~受精を迎えるのです(作物学の基礎Ⅰ食用作物:農文協より引用)。
 開花の最適温度は30~32℃ですが、35℃以上の高温(穂温)になると、雄蕊は雌蕊より高温に弱いため、葯の裂開不良などで受精が阻害されて不稔が発生することがあります。稲は暑さに強いのでは?と思われるかもしれませんが、近年の温暖化は品質不良や受精障害を発生させるほどの猛暑なのです。1933年(昭8)7月25日、山形は最高気温40.8℃の猛暑に見舞われました。日本一暑い記録は長らく破られませんでしたが、今では40℃越えは珍しくありません。蛇足ながら。

2022年7月25日 10:43