人と風土が育む山形の酒米(20)

ふるい目(6).jpg 2.1mm選別に耐える酒米づくりは厚みのある豊満な粒に仕上げることにある。心白が鮮明に入り、相対的にタンパク質含有率は低下する。一粒、一粒の最大限の大きさはもみ殻の大きさで決まり、このもみ殻にどれだけのデンプンを蓄積するかにある。玄米の肥大は長さ⇒幅⇒厚さの順に進むことから、厚みのある玄米の形成は、登熟中~後期間の気象、葉・根の稲体活力に影響される。とくに、稲体活力の維持がポイントになる。そのための生産技術を図で提示しよう。これら個々の技術は別に目新しいものではない。いずれも匠の技が積み重なった基本技術そのものである。 
 とはいえ、酒米生産の現場でも高齢化や後継者不足への対応は喫緊の課題になっている。「匠の技」は画餅に帰するかもしれない。一方、進展著しいICT(情報通信技術)の活用が農業生産の場で注目されている。匠の技を「みえる化」し、伝承することや、ドロ-ンによる肥料・農薬の適時・適量施用、水管理の自動化などなど。
 140年ほど前、イギリスの旅行家イザベラバードが"ロマンチックな雰囲気のある場所"と称賛した酒米の里金山も、ドローンが飛び交う「スマート農業」が次世代の米づくりの主役になるだろうか。
 (本ブログでは、20回にわたり山形県の酒米づくりを紹介してきました。本記事が高品質の酒米づくりに些かでも役立てば幸いです)

2022年3月22日 14:00