人と風土が育む山形の酒米(19)

ふるい(1).jpg<篩い目幅2.1mmによる選別>
 もみ摺りした粗玄米はふるいで精選する。酒米のふるい目は、県の標準では「出羽燦々」、「出羽の里」は2.0mmであるが、酒米の産地では品質を高めるためより大きいふるい目幅へ移行しつつある。兵庫県ではグレードアップ山田錦運動を実施し2.05mmへとアップ、岡山産雄町は2.1mm、県内産大吟醸酒向け「雪女神」も2.1mmである。
 ふるいの網目を大きくすることで、玄米千粒重は当然ながら大きくなる。タンパク質含有率は低下する。また、精米品質のアップ、吸水の安定、安定した製麹など酒造りにもメリットがある(グレードアップ兵庫県産山田錦資料)。
 弊社は研究会の「出羽燦々」代表的な圃場数か所を選定、5か年にわたって玄米サンプルを2.0mmと2.1mmの篩で選別し品質調査を行っていた。その結果では、2.1mmは2.0mmに対して千粒重は0.4g大きく、整粒歩合は1.3%高く、タンパク質含有率は0.3%低下し、2.1mm選別で酒米品質は向上することが分かった。反面、2.1mm選別では当然ながら収量は下がる。減収率は最大で8.1%、最小で2.7%、平均値では5.5%であった。 
 研究会は減収率5%のデータを受け入れ、平27年産から全面的に2.1mm選別に切り替える。この思い切った取り組みによって、等級は高まり、両年の収量を調査した結果では、2.1mmは2.0mmに対し93.3%(減収率6.7%)であったが、減収率は生産者間でのばらつきが大きかった。減収率がばらつく要因を玄米千粒重との関係でみると、千粒重25gで減収率10%、26gで7%、27gで5%、そして28gで3%である。この関係は減収率を小さくする対策が千粒重を大きくすることを示している。
ふるい目(3).jpg     篩目幅と品質
ふるい目(5).jpg



2022年3月22日 12:34