人と風土が育む山形の酒米(16)

施肥とタンパクとの関係.jpg

 <玄米タンパク質含有率>

  金山酒米研究会の品質調査でもっとも重視しているのが玄米タンパク質含有率である。タンパクを測定することで、施肥法などをチェックし、生産者別に品質向上のための処方箋を書けるからである。
 酒米のタンパク質含有率も普通米と同様、施肥法などの栽培条件、気象、土壌などの環境条件で変動する。とくに、穂肥といって、7月半ば(出穂前25~20日)に施用する窒素追肥量との関係が深い。同一施肥量の時、玄米タンパク質含有率は一般に出羽燦々>雪女神>出羽の里の傾向がみられるが、この序列は施肥量で乱れる。金山の事例では、窒素量が2kg/10a施用で玄米タンパク質含有率は平均7.5%であるのに対し、4kgでは8%、6kgでは9.0%と、穂肥量に対し比例的に高まる。また、穂肥時期が遅れるほど、すなわち、出穂期に近いほど明らかに高まる。
 千粒重、心白発現が生育期間の気温などの環境条件で変動しやすいのに対し、タンパク質含有率の変動は生産者の腕にかかっていると言えよう。一般米の食味の良し悪しをもたらす要因もタンパク質含有率に影響されるのは酒米と同様である。

                 

2022年3月 8日 10:20