アスク試験田酒米品種の作柄解析(令1年産-6)

千粒重2.jpg 玄米幅と千粒重.jpg
図3 出穂前11~30日間の最低気温(出羽燦々:金山)  図4 玄米の幅と玄米千粒重の関係(出羽燦々:金山)

 千粒重が低下したのはJA金山酒米研究会のサンプル調査結果でも同様でした。総平均26.0g、調査を始めた平成18以降4番目の低さでした。アスク試験田で千粒重が低下した要因が出穂後11~20日の高温の影響と推察しましたが、金山の出穂期は8月5日頃、出穂後11~20日の平均気温は24℃で登熟初期の適温です。このことから、低下要因は高温以外にあると推察し、その一つとして出穂25日前頃に相当する7月8~11日にかけての最低気温にあるのでないか。平均で12℃と低く経過したからです。
 そこで、出穂前11~30日間の最低気温と千粒重との関係を調査しました。データは、県水田農業試験場が金山で実施している酒米の育種圃場(1995~2019年)に供試した出羽燦々の千粒重と金山アメダスを引用しました。その結果、両者にはr=0.778の高い相関関係があり、令和1年産はこの回帰線上に載ることがわかりました(図3)。すなわち、この期間はもみの生長が盛んであり、気温低下によってもみの生長が阻害され、サイズが小さく形成されたと考えられます。
 このため、出穂後の気温が登熟に最適であっても、玄米の肥大はもみの長さ、幅の大きさに規制されたのでないか。また、JA金山酒米研究会の個別のサンプル調査の結果、令1年産の玄米の幅が平成29、30年産より明らかに小さいこともわかりました(図4)。ただし、玄米の厚みは、29、30年産よりは厚い傾向が見られました。
 以上から、金山産「出羽燦々」の千粒重が小さかったのは、出穂11~30日間の最低気温が低く経過したことによってもみサイズが小さく形成されたためと推察されます。

2020年1月17日 13:39