アスク試験田酒米品種の作柄解析(令1年産-3)

 

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 師走の月は早いものでもう半ば、ここ数日は冬とは思えないほど穏やかな天気が続いています。
アスクの品質調査室は酒米産地や蔵元から送られてくるサンプル米の調査に追われています。アスク試験田の品質調査の結果がまとまりましたので紹介しましょう。右図の棒グラフで、黒棒が本年値、白棒が平年値(平18~30年の平均値)です。
① 玄米千粒重は、いずれの品種とも平年値を下回る。
② 整粒歩合は、並みからやや低い。
③ 心白率はいずれの品種も平年値より高い。ただし、心白は粒の中心部にある鮮明なものでなく、腹白型や乳白状のものが多い。
④ 玄米タンパク質含有量はいずれの品種ともやや高め。
 以上から、本年産試験田の酒造好適米品種の品質は総じて「やや不良」とみられます。その要因は出穂後~登熟中期(出穂後20日間)にかけての高温にあると考えています。平成17~令1年の8月上・中旬の平均気温と試験田全 供試品種の心白発現率の平均値との関係、および早生、中生の心白発現値の平均値との関係をご覧ください。本図から、出穂後20日間の平均気温が26℃以上の年では心白発現率が急増するという関係が読み取れます。この関係は、コシヒカリなどの一般米において、出穂後20日間の日平均気温が26℃を超えると白未熟粒が急激に増加するという知見とも一致します(森田敏、イネの高温障害と対策:農文協)。
 このことから、酒造好適米品種においても、出資後20日間の平均気温26℃は、高温による品質低下対策や予測をする上で一つの指標になるでしょう。
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2019年12月16日 09:20