酒米の里金山"出羽燦々の品質(3)

金山写真1.JPG 2金山写真.JPG
酒米の里金山”雪景色”(1月20日 JA金山 長倉氏撮影)

金山2.1mmデータ表.jpg2.1mm重量分布.jpg 千粒重と2.1mm減収率.jpg

 酒米の里”金山酒米研究会”は、より高品質の酒米づくりをめざし、玄米選別のふるい目幅を、これまでの2.0mmから2.1mmへと全面的に切り替えることとしています。2.1mm選別で粒張り、粒揃いが高まることで、酒造りにとって精米歩留りの向上、吸水率の安定、製麹の安定などのメリットがあると言われています。反面、生産者にとってはふるいから落ちる粒は2.0mmより多くなるため減収というデメリットを生じます。しかし、ふるい目幅による収量・品質を生産現場で調査したデータは見当たらないことから、金山酒米研究会の27、28年産について調査を試みました。その概略を紹介しましょう。
 調査したサンプルは生産者が2.0mmの選別機で調製した玄米です。これを2.1mm(不二金属工業製)の網でふるいました。その結果が上の表と図です。全サンプルの平均値でみると、2.1mm選別で千粒重は0.2~0.3g、整粒歩合は0.3~1.3%向上しています。タンパク含有率では差は見られませんでした。一方、2.0mmに対する重量歩合の分布では、27年産が93%に、28年産は95%にそれぞれのピークがあり、生産年で差がありました。また、生産者間でも最高と最低値で10%の差があることもわかりました。
 この差をもたらしている要因の一つが千粒重と考えられます。玄米千粒重と減収率(100%-重量歩合%)との関係を見ると、両年とも両者間には負の相関がみられ、千粒重の小さいものは減収率は大きいことがわかります。
 以上の結果から、2.1mm選別でも減収率を小さくする、すなわち2.1mm選別に耐えるのは粒厚が厚く豊満な粒です。豊満な粒に仕上げるための生産技術については本ブログ(平28.12.29)で提示していますのでご覧ください。山形県の酒米づくりは、新品種「雪女神」の誕生で、2.1mm選別への気運が盛り上がっています。金山の調査結果がそのための参考になれば幸いです。
 

2017年1月23日 11:08