閑かさや岩にしみ込蝉の声
山形市郊外、奥羽山系のふところに抱かれたJR仙山線山寺駅に降り立つと、岩山を這うように建つ仏閣に圧倒されます。名刹立石寺(りゅうしゃくじ)です。
俳人芭蕉が山寺を訪れたのが元禄2年(1689)5月27日、陽暦では7月13日です。山寺では
山寺や石にしみつく蝉の声
と詠みましたが後に
さびしさや岩にしみ込(こむ)蝉のこゑ
と変え、さらに後にまとめた「おくのほそ道」では
閑かさや岩にしみ込(いる)蝉の声
に改作したとされています(童門冬二:異聞おくのほそ道)。
生憎と13日の山形は雨ですが、きのうの山寺は晴れ渡り、青空に映える緑と仏閣が目には目映いほどの景観でした。芭蕉もまた330年前同じ光景を目にしたのでしょうか。今が盛りの紅の花とともに。
2016年7月13日 15:26