この指とまれ、直播栽培に取り組む

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ワンオペレータで播種と同時に肥料・除草剤をも散布します。
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鉄コーティングされたタネモミは土の表面に点状に播かれます

 山形市郊外の田植えは始まったばかりですが、5月13日、この指とまれの平吹正直さんが60アールのたんぼに「はえぬき」のタネを直に播きました。直播(ちょくはん、じかまき)栽培です。鉄粉でコーティングしたタネモミを代掻きした田んぼに5~6粒ほどを点状に播いていきます。鉄コーティング点播(てんぱん)湛水直播栽培という方式です。
 8条の田植え機にアタッチした播種装置、タネ播きと同時に肥料、除草剤をも同時に散布します。ワンオペレータで30アールのタネ播きは20分足らずで終了。直ちに入水し、7日間ほど湛水状態を保ち、除草剤の効果を高めます。その後は落水、小ヒビが入るくらい乾かし出芽揃いを確認後再び水を入れるという複雑な水管理をします。
 直播栽培は、田植えとは異なり、田んぼに直にタネモミをまくために、播種⇒発芽⇒出芽⇒苗立ちの過程は、気象・土壌・水管理・鳥害によって大きく影響されます。ヒエもイネと同時に発芽しますので、雑草対策は特に大切です。このため、苗立ちまでは胃が痛くなる栽培法といっても過言ではありませんでした。
 それが、鉄コーティング法が開発されたことによって、タネが重くなって、表面に播いても水に浮いたりせず出芽率が高まること、浮き苗の発生が抑制されること、鳥害を受けにくいなど直播の障害が軽減されたのです。そのうえ資材費が安いメリットもあります。効果が高い除草剤も開発されました。
 近年、全国的に直播栽培が普及しています。山形県の直播栽培は、平成21年が970ha、同23年が1304ha、同26年が1782haと増え続けています。全作付面積のわずか2.6%ですが。今後、規模拡大や園芸作物の導入などによる経営強化を進めるには、現在のようなハウス育苗・田植え方式の米づくりでは限界があります。直播方式によって新たな活路を見出そう、平吹さん達の挑戦が始まっています。

 

2016年5月13日 12:02