成育期間の気温と酒造適性との関係(2)

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 2)気温と心白発現との関係

  心白とは米の中心にある白色部分のことで、デンプンのつまりが密でないため光が乱反射して白く見えます(写真右)。酒米の特徴の一つです。心白部分は、吸水しやすく、麹作りでは、麹菌が米の内部まで入りやすいなど酒造りに適した構造になっています。
 心白はほどほどの大きさで中心部に鮮明に入っているのが理想的です。かっては、大きいほど良いとされましたが、精米歩合50~60%の吟醸酒、さらに高級酒のように30%もの高精米では、砕米や無効精米歩合が高くなってしまいます。
 心白発現の程度をあらわすのに、(心白大×5+中×4+小×3)/5n×100(n:調査粒数)と心白の大きさに重みづけをしたのを心白率と呼んでいます。心白率は上の表と図にみられるように、出穂後の気温に影響を受けていることがわかります。
 すなわち、金山の事例では、心白率は出穂後10日間の平均気温較差(最高気温-最低気温)が大きい年には高まります。さらに、出穂後40日間の平均気温との関係は明瞭で、気温の高さに比例して心白率は高まっています。なお図中で、平成22年、24年は心白率は高いものの、腹白状、乳白状の心白が目立ちました。このような米は高度精白には向かないでしょう。
 山田錦の心白発現では、大きい心白の割合が20%以下が標準とされているようです。出羽燦々においても、心白率は写真のように20%ほどが適切でないかとみられます。その時、出穂後40日間の平均気温は22~23℃です。この気温は登熟の最適気温である22℃に近い値です。
 登熟期間の気温はコントロールできません。しかし、品質向上のための対応は可能です。もし、出穂後40日間の気温が23~24℃以上で経過したとき、その年の心白の発現は多いと推定されますので、乾燥には一段と注意を払う必要があります。心白率が高い米は乾燥速度が速く過乾燥や胴割れ粒の発生を招きやすいからです。
 出穂後の平均気温の計算は簡単です。田んぼの出穂がほぼ40~50%を出穂期とし、その日から40日間の平均気温を求めれば、上のグラフから心白率が20%より高いか低いかのおおよそ見当はつくでしょう。



 

2016年3月18日 13:43