インド西ベンガルのあぜ道から(17)

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ポンプでくみ上げる水は田んぼと行水に 水路がないためホースで灌水
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代掻きはオペレータとならし板に乗るコンビで  苗は60×30cmのマット条に切り取る
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 今日1月26日はインドの祝日「共和国記念日」 、1950年の同日に共和国憲法が公布されたことを祝い、国内では記念行事やイベントが行われるとのこと。袖振り合うも多生の縁、お祝い申し上げます。
 西ベンガルの米作りに戻りましょう。プロジェクトRが手植えをしている側の田んぼでは、トラクターが轟音を響かせながら代掻きをしています。そして驚いたのが田植機を目の当たりにしたことです。インドの田植えは手植えとの先入観をもっていたからです。先にも紹介しています農業試験場OBの先生によれば、西ベンガルでは歩行型田植え機は40%ほど、乗用型は2~3%は普及しているとのこと。認識不足でした。機械は日本で使われていた4条型のものです。でも、日本のように育苗箱は見当たりません。田植え機で植えられるよう苗づくりに工夫がなされていました。順を追って説明しましょう。
①苗床を60cm幅の羊羹状の短冊型に作ります。②苗床にはポリシートを敷き、③その上に、コンポストと土を混ぜ合わせた培土を20cmの厚さに積み重ねます。④その培土にタネをまきます。種子量は本田10アール当たり5kgが目安。⑤水苗代と同じように育苗します。⑥12月30日にまいたタネは、1月13日の田植時には2.5~3葉(本葉)に成長していました。田植えにはちょうどよい苗の大きさです。⑦苗代では、60cm×30cmの型枠に沿ってマット状に切り取り、まるめて洗面器のような容器に入れ頭に載せて田植機まで運びます。⑧苗の根の成長はポリシートで抑えられ横へ伸びて絡み合い、苗がバラバラになることはないようです。なるほど、考えたものです。日本のように、育苗箱で育てた苗とは異なり、マットの形成はもろいようです。⑨切り取った苗マットを田植機にセットします。
 西ベンガルの田んぼに灌排水路はありません。さまざまの形状の田んぼが畦畔で仕切られ入り乱れています。そこを機械で植えるのですから枕地や畦畔沿いはどうしても粗末な植え方になります。さらに、苗のマットがもろいために欠株が多くなります。そのうえ、植付のスピードが早い。もう少し丁寧に操作したらと思うのですが。植付け後に補植はするとのことですが。
 長い苗を不定形に手植えするというこれまでの伝統的な様式から、一転して短い苗を機械植えする、一台で一日2エーカ(80アール)植えるという。この能率は75人分に相当するらしい。
 日本では、昭和40年代後半に田植え機が導入され、瞬く間に広がりました。経済成長が著しいインドです。何年か後、西ベンガル州の広大な田んぼには田植え機のエンジン音が響き渡るに違いない、それにともなって、田んぼは区画整理されコンバインも普及するでしょう。とすれば、農村で見かけるあのあふれるほどの若者たちはどこへ行くのでしょうか。気になりました。


 

2016年1月26日 11:20