"酒米の里金山"本年産出羽燦々の品質

 
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  アスク品質調査室には、県内産をはじめ兵庫県産山田錦など、各産地から酒米のサンプルが送られ てきます。連日、それらの品調査に追われています。酒米の里金山産「出羽燦々」60数点のサンプルの調査がこのほど終了しました。その概要を紹介しましょう。
  金山産「出羽燦々」の本年の一等米比率は96.1%、県全体より9.3%高い値となっています。その要因のひとつに整粒歩合が75%と高いことにあると考えられます。
 さて、金山産酒米の品質調査を始めて10年になりますが、その10年間の品質変動を折れ線グラフでみてみましょう。このグラフからは、本年産を含め、ここ数年間は整粒歩合は高め、玄米タンパク含有率は低め、そして千粒重は26.5~27.0gで推移していることがわかります。品質は年々向上していることが読み取れるでしょう。

1金山グラフ.jpg kaneyama.jpg気温と心白率.jpg

 これらの形質に対し、心白率(静岡製機、穀粒品質判別器による)にはそのような傾向は みられず 、年次による上がり下がりが大きいことがわかります(グラフの白線)。本年産の平均では11%と低い値でした。心白が多く入る年と少なく入る年、その要因は品種特性、気象、栽培法などが絡み複雑ですが、そのひとつに出穂後の気温が関係していることが考えられます。
 そこで、出穂後の期間を10日ごとに区切り、その間の平均気温と心白率との関係を調べました。その結果、出穂後40日間の平均気温と心白率との関係がもっとも強く、平均気温20~25℃の範囲では、気温が高いほど心白率が高い傾向にあります。ただし、気温が高かった22年産、24年産はいずれも腹白状の心白粒が多かったようです。一般に、登熟の適温は出穂後40日間の平均気温で22℃と言われていますが、この気温だと心白率はグラフから20%ほどです。
 なお、データの詳細な解析と品質向上策は、酒米研究会の検討会に向けて今後まとめる予定です。その時また本ブログで紹介しましょう。

2015年11月20日 11:44