日本酒ルネサンス!を支える種子生産

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創意工夫を凝らした種子精選作業、この日は酒造好適米品種「酒未来」・「龍の落とし子」
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 11月9日にNHKが放映したクローズアップ現代「日本酒ルネサンス到来人気の秘密大解剖」では、今、日本酒が若者に魅力ある酒として人気上昇中とのこと。その秘密が、日本酒の多様性が味と香りに広がりをみせ、また、山田錦一辺倒の酒米から、それぞれの地域で生まれ育った多様な酒米品種にもあるという。その紹介場面の中心が山形、とあっては地元で酒米づくりを担っている一人として画面にくぎ付けになりました。酒米づくりとその種子生産をしているこの指とまれの山口泰弘、平吹正直さんにとってもきっと誇らしく感じたに違いありません。
 さて、例年、両君が立冬を過ぎる頃に始めるのがアスク種子生産圃場に作付した「羽州誉」・「龍の落とし子」・「山酒4号(玉苗)」・「酒未来」・「改良信交」・「京の華」・「酒の華」・「キヨニシキ」・「雪化粧」・「はなの舞」・そして兵庫県小野市からトラック便で運ばれてきた「愛山」の種子精選作業です。これらの酒造好適米品種は、十四代高木酒造が独自に開発したもの、かつて山形県で奨励したもの、100年近く前に作られたものなどなどです。
 春、雪解けを待っての塩水選に始まり、播種、田植え、刈り取り、乾燥、そして種子生産の基本でもある異株の抜き取りなど細心の注意を払いながらの圃場作業に汗を流してきました。そして、しんがりが種子の精選です。
 この作業は、モミの先端についている芒(のぎ)、枝梗(しこう)、ワラ屑を取り除く脱芒機、粃(しいな)や充実していないモミを取り除く選別機を主役に、脇役にフォークリフト、昇降機、秤などをつなぎ合わせた独自の施設です。大型の種子センターとは比べようはありませんが、創意工夫と手慣れた作業で4000kgもの種子を生産しています。
 「酒米づくりは確かな種子生産から」、というのがアスクの方針です。その方針を貫けるのも、両君の地道な取り組みがあってこそなのです。日本酒ルネサンスのほんの一端を支えている、と言っても過言ではないでしょう。作業は4日ほど続きますが、終わったあとで酌み交わす酒、一入美味しく感じるでしょう。

2015年11月10日 10:03