インド西ベンガルのあぜ道から(12)

 DSC_0488.JPG DSC_0474.JPG
農業試験場にて、稲の生育ぶりをみてグー

待ち望んでいた試験場の結果がメールで送られてきました。試験場の稲を目の当たりにしたものの、気になっていたのです。あたかも、健康診断の結果待ちのように。データは下表の通りでした。
                 Malt農業試験場品質.jpg

農業試験場のコメントは
We tried your seed for the last two seasons - Wet & Dry. 
私達は、雨季と乾季に試験をした。
1) Of these two seasons your seed performed better in Dry.
 シーズンのうち、乾季がよい結果であった。
2) Of the six seed tried E topped the list closely followed by D & A
6品種中、品種Eの収量がトップで次いでDとAであった。
3) E was the earliest with leaf NO.14 & day's to 50% flower 95 day.
品種Eの主稈葉数14枚で播種から出穂期まで95日、もっとも早かった。
4) A was the latest with leaf NO.15 & day's to 50% flower 102 day.
品種Aの主稈葉数15枚で播種から出穂期まで102日で、もっとも晩かった。
5) Required to repeat one more year for confirmation of result.
結果の正確性のために、もう一年繰り返す必要がある。
とありました。
 以上の結果から、アール当たりもみ重に0.7掛けで玄米重を算出すると、最高がEの54kg/a、次いでDが53.6kg/a、そしてAが50.0kg/aとなります。雨季作からは想定もつかなかった高収量です。もう一つ興味あったのは、品種EとAの出穂期です。Eは主として九州地方で栽培されています。山形で作ると出穂期は9月上旬なります。品種Aは東北地方で栽培され、出穂期は8月上旬となります。ですから、山形でAとEを同時に田植えすると、出穂期はAはEより早く、その差は一か月近くにもなります。この差は西ベンガルでは完全に逆転します。これは、Eが日長が短いのに感応して幼穂が分化するのに対し、品種Aは一定の積算気温に到達して分化するという、北と南の品種の特性の違いによるものと考えられます。
 いずれにしても、農業試験場のデータはプロジェクトRに大きな自信を与えました。”インドでも日本稲は作れるんだ”。今、インドは雨季に入り、連日熱波が襲い死者が出ていると報道されています。Bhatarで出合った農家の人たちもその暑さの中で米作りをしているのでしょうか。気になります。袖振り合うも他生の縁というではありませんか。
 西ベンガル州の田んぼにちょっと足を踏み入れただけなのに長々とと書き連ねてしまいました。本シリーズは今回でもってひとまず終了します。プロジェクトRはSiliguri での雨季作を検討しています。その時、またインドの米づくりの一端を紹介させていただきます。ご愛読ありがとうございました。
 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 


 

 


  

2015年6月 5日 14:20