インド西ベンガルのあぜ道から(10)

西ベンガル地図.jpg プロジェクトRは農業試験場で育つ日本稲を目の当たりにし、乾季でも地下水が豊富な西ベンガル州の中央部での栽培は可能、との思いを深くしました。しかしこれでは乾季のみ、年一回の収穫しかできません。仮に、年一回の作付で相当の収量を確保できたとしても、モミを保管する低温貯蔵庫の施設が必要になります。電力事情が不安定なインドでは不安材料です。さらに、乾季作がいつも安定した収量が見込めるとは限りません。
 ならば、雨季作であっても、気温が低い北の地方や高標高地ならば栽培は可能でないか。西ベンガル州の北、DARJEELING県Kalimpongの標高700mの棚田では雨季に日本稲(コシヒカリ?)を作っているとの情報を耳にしています。
 そこでプロジェクトRはKOLKATAから700km北、西ベンガル州DARJEELING県のBaghdogra空港へと飛び、そこからJALPAIGURI県の標高122m、人口約50万人のSiliguriを経てBelakobaへと向かいました。BANGLADESHとの国境近く、ヒマラヤに源を発する大河Tista流域に広がる田園地帯です。
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向こう岸が見渡せないTiata川と流域に広がる水田地帯
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田んぼには灌漑水路があり、女性達が草取りの合間を縫ってポーズ

 田んぼが一面に広がり、Bhatarよりは吹く風にも涼しさを感じます。この地帯は、田んぼの経営面積が1ha未満が多く、野菜・お茶・ジュートとの複合経営が主とのことです。なんとなくかって訪れた沖縄県の農村地帯を思い出しました。
 颯爽とバイクを乗り回す若い農業者?が田んぼを案内。3月に田植えした稲の成育は分げつ盛期頃で、6月上旬には刈り取りするとのこと。インド稲のANADAという品種で、もう20年間作り続けているが、最近は多収タイプのGB-1という品種の作付が伸びている、雨季作は6月下旬に播種、7月上旬田植え、刈り取りは9月などを説明してくれました。Bhatarとは異なり、灌漑水路が張りめぐされ、水路いっぱいにきれいな水が流れています。水温は20℃ぐらい、手を入れると少し冷たく感じます。女性たちは除草作業中で、カメラを向けると、手を振ってポーズをとってくれました。
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案内してくれた地元の若い農業者?  車窓からみる農家のたたずまいもBhatarとは異なる
 帰国後、Siliguri市の気象を調べると、一年間の月平均気温の推移は沖縄県名護市と類似していることがわかりました。だとすれば、ここでの雨季作は可能と思われます。ただ、懸念されるのは、雨季という蒸し暑い気象条件の下で、いもち病など病害虫の発生です。立ち寄った肥料・農薬店には棚いっぱいに農薬ビンが並んでいました。プロジェクトRは、この地での雨季作が可能か、栽培農家の選定など、雨季を迎えたBelakobaへ飛ぶ予定です。
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立ち寄った肥料・農薬店  Siliguri市の気温の推移は沖縄県と似ている

 


 

 

2015年6月 4日 11:34