インド西ベンガルのあぜ道から(9)

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ハイブリットライスの研究か、交配したポット 種子の貯蔵庫にはハイブリットライスのタネが
 ドクターの講義が終わって、試験場内の施設を見て回りました。ガラス室にはハイブッリトライスの研究材料でしょうか、交配した穂にはパラフイン紙の袋がかけられいます。交配は剪頴法1)でした。また、倉庫には雨季作の種子が貯蔵され、その中には、ハイブリットの種子もあるとのこと。
 職員に見送られてKOLKATAへと向かった時はすでに薄暮、試験場のManaging Directorが、途中にある精米工場を案内してくれるという。彼の運転もなかなかのもの、追い越しを繰り返しながら工場に着いた時にはあたりはすっかり暗くなっていました。でも、工場はまだ稼働中。お世辞にも清潔とはいえない場内と施設を見て回りました。自慢は、色彩選別機とのことでしたが、かなりの年代ものでした。
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工場の従業員の皆さん  精米機(中)と色彩選別機(右)

工場の裏にはパーボイルドライス2) のタンクが並んでいましたが修理中とのこと。タンクの周囲はコンクリートで固められた広場になっており、タンクで蒸したもみを乾かす場所とのことです。従業員から甘い飲み物をごちそうになり、喧噪のKOLKATAコルカタへ。
I was tired today.

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 1)剪頴法:交配をするに先立って、頴の先端を切り取ってピンセットで6本の葯(おしべ)を一本ずつ取り除く。この方法は手間がかかるため大量の交配には適さない。このため、日本では、温湯除雄法が広く利用されている。これは、花粉が高温に弱い性質を利用したもので、開花直前の穂を43℃の湯に5~7分ほどつけておくと、花粉のみが機能を失う。そこで、開花後に他の品種の穂から花粉をかけて交配する。
2)パーボイルド・ライス:パーポイルド・ライスは、インドとその近隣の国で古くから作られている米加工品。製法は、米をモミのまま一昼夜ほど水に浸漬し、水を切った後蒸気で30~60分ほど蒸す。この後、火力または天日で乾燥し、籾摺搗精を行う。このようにすると、加熱によりデンプンが糊化し、乾燥によって胚乳部が硬くなるので、砕米の発生が少なくなるとともに、害虫やカビによる被害を受けにくくなる。また、糠層や胚芽に含まれているビタミン、B1などの水溶性成分が胚乳部に移行し、白米の栄養価が高くなる。しかし、精米が淡黄褐色になり、臭いも悪くなる。インドでは約70%のモミがパーボイルド加工される(美味しい米 第1巻)。

 

 

 

2015年5月29日 13:56