インド西ベンガルのあぜ道から(3)


コルカタ気象図.jpg  生育模式図.jpg


 仮に、山形の品種「はえぬき」を西ベンガ
ル 州 の雨季に 栽培したとしましょう。
 ①「はえぬき」の出穂は移植後の気温に
  左右され、 高温条件では早まります。この
 特 性を感 温性と呼ん でいます。
 ②「はえぬき」は出穂までに13枚の葉を
抽出します。13枚目を止葉と言います。
気温が高く出穂が早まると減葉し止葉は
12とか になります。KOLKATAの 雨季は
連日 平均気温は30℃ですから 10~ 11枚目 が止葉になると推察されます。
 
 ③農業試験場の苗代期間は30日と長かったことから、高気温の下では移植時の苗は6枚目の葉が展開し、 草丈は30cmほどにも伸長します。
 ④このため、移植後は4~5枚の葉を抽出するのみで出穂を迎えてしまします。6葉から11葉が抽出するのに要する積算気温は700~800℃ですから、これを日平均気温30℃で割ると23~27日、すなわち、計算上はこの日数で出穂することになります。農業試験場の結果でも移植から28日目で出穂したとありますから、計算葉位の比較.jpg上の数字とほぼ一致します。
  以上が出穂が異常に早まったことへの推論です。西ベンガルでの日本米、とりわけ北陸、東北の良食味 品種は感温性の特性を持っていることから栽培は難しい、プロジェクトRの誰しもこの結果にはガックリ。
 
 ところが、報告の最後には次のようなコメントが寄せられていたのです。
Both the varieties need to be evaluated in the Rabi season,  Rabiシーズンに作付し、もう一度評価してはという提案です。Rabiシーズンとは、冬から春にかけて、比較的気温が低い乾季に作付することとあります。乾季でも米づくりはできるの、水は大丈夫?、それは心配無用。地下水が豊富な西ベンガル州では乾季にも米を作り、本シリーズ(1)にも書いていますがラビ米としてインドの米生産の9%を占めています。
 渡りに船とはこのこと、プロジェクトRは、KOLKATAから北西130kmのBARDHAMANのBhater地区の農家に作付を委託するとともに、農業試験場にも試作を依頼、日本米を作ることに再挑戦したのです。山形の米づくりはもちろんのこと、熱帯稲作にも造詣の深い専門家をアドバイザーに迎えて。

 
 



 

  

2015年5月 1日 10:29