酒米づくりに先人の心意気を受け継ぐ

DSC_0298.JPG DSC_0299.JPGDSCN0038.JPG

 

 早いもので今日から4月、桜前線北上中ですが、県内の山間部は、大蔵村肘折223cm、西川町大井沢211cmもの残雪(3月31日)、山里の春はまだまだ遠いようです。
 同じ県内でも、平野部はすっかり春の装いです。この指とまれの平吹正直さんは田んぼの畔ぬりの手を休め、4月1日の年中行事になっているタネもみの塩水選を行いました。アスクの社員も駆けつけて手伝い?。塩水選したのは、酒造好適米「羽州誉」・「龍の落とし子」・「酒未来」・「改良信交」の種子生産用の品種などです。
 塩水選は充実したタネもみを選ぶ作業で、米づくりのもっとも基本的な技術です。この塩水選(正確には塩水選種法)こそ、133年前の明治15年に福岡県農業総合試験場(現)の横井時敬(よこいときよし)が考案したわが国農業技術の第1号なのです。
 春になると日本中の米づくり農家が庭先でやっている塩水選、水10リットルに塩2.1kgを入れ、かき混ぜた塩水にモミを入れると、良く稔ったモミは沈み、不良なモミは浮く(写真右)、この変哲もない作業が科学農法のさきがけとも言われています。
 塩水選は大正から昭和にかけて全国に広がりました。とくに、東北地方では冷害が普及のバネになりました。不作を乗り越えよう、今年こそは豊作をとの思いを込めて良い種子を選んだのでしょう。
 塩水選は農村の風物詩でもありました。この風景はやがてその姿を消そうとしています。種子調製施設に高度な機械が導入され、塩水選を必要としないほど、種子の精選が向上したからです。
 しかし、高品質な酒米づくりにとって、塩水選はまだまだ現役の技術です。塩水で選んだ大きくて重いタネもみは、太い苗と茎に育ち、大きなモミを着け、心白が入った酒米を生むのです。130年も前に考案された塩水選、これからも先人の心意気を受け継ぎ、酒米づくりに汗を流したい、こんな思いを持った4月1日でした。
  

2015年4月 1日 11:33