インド西ベンガルのあぜ道から(2)


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アスク精米工場、試験田と山口泰弘さんの作業を視察するプロジェクトR

 インドは米の輸出大国ですが輸入はほとんど行っていません。インドでの日本米は珍しい。最近では経済発展が著しいインドに駐在する日本人が増えてことや、寿司など日本食が世界中に広まっていることなどから、インドでも日本米への関心は高まっているとのことです。既に、西ベンガル州の北東部、紅茶の産地で有名なDARJEELINGのKalimpangの標高700mの棚田では日本稲を栽培し、カリンポン米の名で販売されています。
 日本米の輸入が厳しいなら、逆にインドで日本米を栽培し需要に応えようではないか、KOLKATAで日本レストラン店を開いているオーナーとアスクが立ち上がりました。仮にそのチーム名をプロジェクトRとでも呼びましょう。ところが、プロジェクトRは経営や販売のプロではあっても、米づくりのノウハウは持ち合わせてはいません。
 そこで、2014年KOLKATAから100kmほど北、バングラデッシュとの国境に近いNADIAのRanaghatの農業試験場(一般米、ハイブリット米、とうもろこし、野菜などの種子生産と販売、技術指導と研究を業務とするPvt.Ltd :Private Limited)に日本米の試作を依頼しました。試作したのは主として東北、北陸で作られている良食味米の2品種です。
 農業試験場から英文で報告された試験結果は表の通りでした。雨期作の成績.jpg
① 西ベンガル州の一般的な栽培時期である雨季の6月27日に水苗代に播種、7月25日に 30×15cmの栽植密度で移植した。
② 施肥は成分量で、窒素6kg/10a、リン酸3kg、カリ3kg、うち窒素は基肥3kg+移植後15日1.5kg+開花期1.5kgの3回に分けて施用。
③ 2品種とも、播種から53日目、移植から28日目で出穂した。また、成熟期は播種から85日目であった。
④ 成育・収量は右の表の通り。モミ収量は10kg/アールと低かった(参孝までに、山形県で品種A,Bを栽培した場合の平均的なデータを表の下段に示す)。
  この数字を見る限り、西ベンガル州での2品種の成育は貧弱で・収量は著しく低いことがわかります。とくに、田植えから出穂までの期間がわずか28日間と短いのには驚きました。立毛中や稲株の写真がないので推論ですが、出穂が異常に早まったため栄養成長が不十分で、分げつの発生やモミ数が極端に少なくなり、それが延いては低収量になったものと思われます。そこで、東北・北陸の品種がインドの雨季という気温の高い時期に栽培された時の成育経過を、憶測を逞しゅうして考えてみました(次回)。

 

2015年4月30日 10:50