インド西ベンガルのあぜ道から(1)

 インドの地域別主要作物の生産状況.jpgDSC_0367.JPG
 西ベンガル州ボルドワン市バター地区で育つ日本稲(4月3日)
インド米主要産地と単州.jpg


 エープリルフールと受け流していたインド行きが本物に。4月2日、アスク試験田のあぜ道を出発、インドは西ベンガル州のあぜ道を短期間でしたが歩いてきました。それも、日本のトップクラスの良食味品種が育つ田んぼを。その紀行記を数回にわたって紹介します。その前に、インドの稲作に触れておきましょう(出典:農林水産省平成21年度海外農業情報調査分析事業、インド農業の現状と供給力)
 1)世界第7位の広大な面積を有するインドは、地域によって気温、降水量といった気候も多様であり、作物の生育に大きく関与していることは当然である。一方、気候条件を緩和する要因として、灌漑施設の普及がある。
 このため、コメの生産は、年間降水量の多い西ベンガル州やタミールナドウ州などの東部や南部、特に降水量が多い沿海地域、および灌漑の普及が進んでいるパンジャブ州などで発達している。

 2)コメの生産
 ① コメの主産地を右の図に示す。インド全体の生産量9669万トン(2007年、日本860万トン)、うち生産量がもっとも多いのは西ベンガル州で1472万トンで15.2%を占める。
 ② 作付面積は、全体で4389万ha(日本 160万ha)、うちもっとも多いのは西ベンガル州で572万haで13%を占める。
 ③ インドのコメの在来種は40万種あり、今日でもこのうち20万種が残っている。また。1965年以降、インドはコメの品種改良に力を入れており、約600の改良種が登録されている。地域別では、年間を通して気温が高く降水量の多い南東部では主として従来型をベースとした品種、灌漑が発達した北西部では高級米のバスマティ米を中心とした品種が多くなっている。
 ④ 西ベンガル州など南東部には、栽培時期によってカリフ米、ラビ米、プレカリフ米の3種類がある。カリフ米はインドにおける一般的なコメの栽培時期のパターンであり、インドのコメ生産の84%を占める。6~10月に散播(じかまき)あるいは田植えが行われ、11~4月に収穫される。ラビ米は、生産の9%を占め、11~2月に散播あるいは田植えが行われ、3~6月に収穫される。プレカリフ米は、生産の7%を占め、3~5月に畑地などに散播され6~10月に収穫される。
 一方、パンジャブ州など北西部では、バスマティの栽培が多い。バスマティ米のなかでもハイブリット米の栽培が増えており、ハイブリット米の品種は、粒の大きさにより小粒種、中粒種、長粒種に分類される。
 ⑤ 単収は1960年代後半から緑の革命が始まり、改良品種の普及で一貫して増加している。インド全体では2202kg/ha(2007年 モミ)、最も単収が高いのはパンジャブ州4019kg、次いでハリヤナ州3361kg、アンドラブラデシュ州3344kgで高く、単収の高い州は灌漑普及率が高いことが共通しており、高収量品種の作付、肥料の投入量が多いことも関係している。

2015年4月20日 14:56