酒造好適米新品種の誕生をめざす(7)

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成熟期の生検2(左)と出羽燦々(右)    生検2の玄米は大粒で心白多い
生検2の特性.jpg
 心白形状.jpg         生検2の心白特性(Ⅳ型腹白状心白粒歩合が高い)


 幻の酒米”愛山”の鮮明な心白と十四代の原料米でもある”龍の落とし子”の早生の特性を併せ持つ酒造好適米新品種の誕生をめざし、平成18年からアスク試験田で取り組み、その育成世代はF9になりました。仮称「生検2」と呼んでいます。
 生検2は早生であることから、県内の中山間地に向くのでないかと考え、酒米の里金山で現地試験を2年間実施しその特性を調査してきました。特性の概要は上の表の通りです。
① 出穂期・成熟期は「美山錦」より2日早い早生。
② 稈長は「美山錦」、「出羽燦々」より短い中稈で、穂数は多い。
③ 熟色は良好だが倒伏しやすい。
④ 玄米千粒重は29g、「出羽燦々」より2.5g、「美山錦」より4g重い大粒。
⑤ 収量(2.0mm選別)は「美山錦」対比105%、「出羽燦々」対比104%で多収。
⑥ 心白の発現は大きいが、眼状・腹白型が多い。
⑦ 玄米粗タンパク含有率は低い。
 以上から、生検2は大粒・心白・タンパクの酒造好適米の3特性を持っているが”眼状・腹白型心白の割合が高い”ため50%、35%の高精白では砕けやすいのでないか?。”稈長は短いが柔らかく倒伏しやすい”ことから生産者からは嫌われるのでは?。27年の作付でF10世代を迎えるのに、優柔不断、迷っています。
 でも生検2は交配してから10年近く育ててきた親の心配とは裏腹に、おいしい酒を醸すのでは?、幻の酒米”愛山”の子供だもの。それを楽しみに挑戦は続きます。


           

2015年3月13日 10:25