酒米づくりへの新たな挑戦(15)

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 大寒の20日、県内の朝方は冷え込みました。ちなみに、19日の最低気温は米沢市ー13.1℃、山形市ー7.2℃まで下がりました。また、積雪量は大蔵村肘折274cm(平年188㎝)、西川町大井沢250cm(同148cm)、金山町162cm(同68㎝)と平年を大きく上回っています。それでも幾分長くなった日脚に春遠からじをも感じます。
 さて、大雪に見舞われている金山町ですが、JA金山酒米研究会松澤信矢会長は酒造好適米「出羽燦々」のより高品質化をめざし疎植栽培、いわゆる尺植え(11.1株/㎡)に取り組んでいます。26年産の品質調査のデータがまとまりましたので紹介しましょう。疎植栽培は慣行栽培(22.2株/㎡)に対して、
ふるい目別重量歩合:粗玄米を2.0mmと2.1mmでふるった重量歩合は疎植が慣行よりやや高め、
玄米千粒重:疎植が25.6gで慣行よりやや小さめ、
整粒歩合:疎植が85.8%で慣行より明らかに高い、
心白粒歩合:疎植が慣行よりやや低め、
玄米タンパク質含有率:疎植が慣行より0.3~0.4%低い。
 このことから、疎植栽培の品質は慣行栽培より、粒はやや小さいものの、整粒歩合は高く、タンパク質含有率が低いと言えるでしょう。とくに注目されるのがタンパク質含有率です。過去3年間とも慣行栽培のものより0.3~0.5%低いということです。この数字だけをみれば、酒造好適米「出羽燦々」の高品質化には疎植栽培が適している、とアクセルを踏みたくなります。
 高品質化の一方で、懸念される点があります。中山間地金山ならではのブレーキがかかることです。それは、収量を構成する穂数やモミ数が、苗の生育、田植え後の低温、そして穂肥のタイミングなどで慣行栽培より大きく左右され、それが延いては収量の不安定につながるのでないか?、ということです。事実、サンプル株の調査データがそのことを示しています(データとりまとめ中)。
 品質の向上と収量の安定化、一石二鳥をねらっての疎植栽培にはクリアしなければならない壁が立ちはだかっています。松澤さんの挑戦は今年も続きます。
 

 

2015年1月20日 11:32