酒は天の美禄、酒米に適地適作あり

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刈り終えた試験田にまだ青々と立毛する「愛山」・「山田錦」・「雄町」

 9月に入ってからの山形の空は、雨らしい雨はなく、爽やかな秋晴れが広がっていましたが、今日は台風16号の接近でどんよりと曇っています。夕方には雨と予報されています。稲刈りには邪魔雨でも、山形の漬物”セイサイ”などの秋野菜には恵みの雨になるでしょう。
 アスク試験田で杭がけ乾燥していた原原種の稲は好天続きで例年より早く収納を終えました。田んぼに残っているのは、酒造好適米の見本栽培、山田錦・愛山・雄町などです。これらの品種は9月に入ってから出穂を迎え、愛山9月5日、山田錦9月8日、雄町9月13日でした。山形県の酒造好適米「出羽燦々」の出穂が8月2日ですから、約1か月遅いことがわかります。青々とした稲は一面黄色い田んぼの中でとりわけ目立ちます。
 出穂が遅くとも、9月が好天で気温が高い年はこれまでにもかろうじて稔りましたが、今年は違います。好天であっても気温が低く、中旬の最低気温が12~13℃、ここ数日は登熟限界気温10℃近くで経過しているためです。
 よく問われるのが、”温暖化で山形でも山田錦を栽培できるのでないか?”。答えは”無理でしょう”。試験田を見ていただければ一目瞭然です。兵庫県で昭和11年に生まれた山田錦、岡山県で大正11年に生まれた雄町、酒米の横綱として君臨している品種といえども、誕生の地の気象条件に適した特性を持ち育っているからこそ、全国の蔵元で芳醇な酒を醸している、そう思っています。酒は天の美禄、米もまた天からのもの、この言葉を改めて思い起こさせるのが今年のアスク試験田です。少々大げさな例えですが。

2014年9月24日 11:59