桜花の下で春耕始まる

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       桜花爛漫 (最上川河畔にて 4月19日 ) 

P1000939.JPG 山形はいま、残雪の山々を背景に桜花爛漫を迎えていますが、今日の空は昨日(20日)の穀雨を待っていたかのように、雨がしとしと降り続いています。久しぶりの雨です。
 二十四節気の穀雨は、雨が降って百穀を潤し、5月2日の立春まではやわらかい雨が降る候を意味すると言われています。杜甫もまた、”好雨時節を知り、春にあたって乃ち発生す・・・・(良い雨は、降るべき時節をわきまえていて、春になると降り出して万物を潤す)、と詠んでいます。
 春の乾いた大地に降る雨は農作物の成長には恵みです。ところで、春耕が始まった田んぼの土にとって雨は苦手、乾燥が大好きなのです。
 なぜ?、少し専門的になりますが、その理由を説明しましょう。稲は、成育期間中に窒素を10~12kg/10アール程度吸収します。このうち肥料からの窒素分が占める割合は、土壌条件によって異なりますが40%、残りの60%は土から供給されます。土中の窒素は、”地力窒素”と言われています。地力窒素は、田んぼの土を代掻き前に乾燥させることで増加します。この現象は”乾土効果”と呼ばれ、土が乾燥することで、易分解性窒素化合物(微生物の死滅や有機物の変性)が増加し、湛水後、微生物の働きで有機体窒素が無機態窒素へと変化し、根から吸収されます。”乾土効果”は土の乾燥度合いが強いほど高まり、発現した窒素は、田植え後から7月中旬頃まで吸収され、稲の成長に役立ちます。このため春の長雨はその年の作柄・品質を左右するほどです。昔から”イネは地力で、ムギは肥料で作れ”という先人の教えは、こうした田んぼの土の特徴を言い表したものでしょう。言い得て妙です。
 この指とまれグループの種まきは完了しました。休む間もなく、桜花を横目に田んぼへ。トラクターのエンジン音を響かせ、春耕に心地よい汗を流しています。    

2014年4月21日 10:44