"始まったナッス"酒米づくりスタート

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 久しぶりに晴れわたった空には残雪の月山(山形市郊外とアスク試験田から 4月1日)
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 塩水選をするこの指とまれ、山口泰弘さん(左)と平吹正直さん(右)

 「春は名のみの風の寒さや」、その合間の春の陽気に誘われ、この指とまれ山口泰弘さんが酒造好適米「酒未来」、平吹正直さん一家が「羽州誉」の塩水選を行いました。例年より一足早い作業です。
 塩水選は充実したタネもみを選ぶ作業で、米づくりのもっとも基本的な技術です。明治15年(1881年)に福岡県農事試験場で考案され、今日まで代々受け継がれてきた”古くて新しい技術”です。水10リットルに塩2.1kgを入れ、かき混ぜると比重1.13の塩水になります。この液にもみを入れると、良く稔ったもみは沈み、不良なもみは浮きます。沈んだもみの塩分を洗い流したのち袋詰めして作業は完了です。
 塩水選は雪解け頃の農村の風物詩でした。惜しむらくは、この風景はやがてその姿を消そうとしています。近年、イネの種子調製施設には比重選別機という高度な機械が導入され、塩水選を必要としないまでに種子の精選が向上したからです。
 しかし、酒米づくりにとっては、塩水選はまだまだ現役、少々オ-バな言い方をすれば、”不易なる技術”と思っています。塩水選で選ばれたタネもみは、太い苗に育ち、その苗から発生する分げつや穂は良くそろい、それが延いては大きな粒とその中に心白が入った高品質の酒米を生むのです。
 田んぼではクロ塗りも始まりました。”今年も始まったナッス、忙しくなるナッス”と毎年同じような会話を交わしながら・・・、米づくりの今後の方向や天候の変動に一抹の不安を抱きながら・・・。さあ、今年の米づくりスタートです。
 
 

2014年4月 1日 13:31