酒米づくりへの新たな挑戦(13)

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 JA金山酒米研究会松澤信矢会長は酒造好適米「出羽燦々」のより高品質をめざし「疎植栽培(尺植え)」に取り組んでいます。疎植栽培の松澤さんと慣行栽培の4名の生産者の本年産の品質を比較した結果は上の表に示したとおりです。データを項目別に見てみましょう。
 ふるい目別重量歩合:粗玄米を2.0mmと2.1mmのふるい目でふるうと、疎植と慣行では重量歩合にほとんど差はない。
 千粒重 :疎植と慣行では差がない。
 整粒歩合:疎植は慣行より明らかに高い。
 心白粒歩合:疎植は慣行よりやや低め。
 玄米タンパク質含有率:疎植と慣行では差がない。
 以上から、疎植栽培の品質は、慣行栽培より心白粒歩合がやや低めですが整粒歩合は明らかに高く、千粒重、タンパク質含有率には差がないという結果でした。ここで注目されたのが千粒重です。松澤さんが疎植栽培に挑戦して3年目になりますが、過去2年間とも、千粒重は慣行栽培より1gほど小さく、大粒・高品質の一石二鳥をねらっての疎植栽培の壁は厚かったのです。
 そこで、本年は従来からの穂肥の方法を変えてみました。その量を増やし、きめ細かな水管理などと合わせイネがじっくりと登熟するよう心掛けたのです。収量はアップし、もちろん、全量特等でした。タンパクも高くはなりませんでした。
 松澤さんの疎植による酒米づくりの秘訣、この技術が来年の米づくりにも生かされ、より確かなものとするための挑戦は続きます。


 
 

2013年11月 7日 14:28