酒米づくりへの決意を新たに

 

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この指とまれグループの研修会(アスクにて)

山形市の本沢地区で米づくりに汗する「この指とまれ」グループ、羽州誉・龍の落とし子・酒未来・山酒4号の酒造好適米に取り組んで7年目になります。
グループの酒米づくりのモットーが蔵元に信頼される高品質米の生産にあります。大粒・低タンパク米に仕上げるための適期・適量の施肥と水管理、2.1mmの網での選別、そして、胴割粒の発生を防ぐ乾燥法などなど、通常の米づくりより格段に気を使っています。
しかし、23年、24年と続いた暑さにはグループも参りました。収量が大きく落ち込んだのです。右のグラフに示したように、10アール当たりの総収量(上米+中米+くず米:黒棒)では年次間の差は小さいのに対し、2.1mmで選別した上米収量(赤棒)が大きく低下していることがわかります。
来年もまた猛暑か、とすればその対策は?、危機感をもったグループは、自主的に研修会を開きました。7年間の酒米づくりを振り返り、来年に向けての技術対応を見出すためです。まず、7年間のデータから次のことがわかりました。
① グループの田んぼの土壌型は、細粒強グライ土、細粒灰色低地土、礫質灰色低地土の3つに分類され、米のタンパク質含有率は、この順に高いという特徴みられること。
② 胴割粒は猛暑年でも発生は少ないことから、水管理・刈り取り期・乾燥法は適切であること。

土壌型とタンパク.jpg

このことから、暑さ対策には①の土壌タイプにあった施肥法にあるのでないかということです。たとえば、礫質土壌(グラフの青線)は地力が比較的低いことから、出穂後の暑さには弱いと言われています。稲体の栄養を持続するためには、2回の穂肥が効果あると考えられます。しかし、穂肥量の増加に伴って、タンパク質含有率が高まるという懸念がその一方にあります。もし、出穂後の気象経過が低温で推移した場合には確実に高まるでしょう。だったら、量は増やさないで回数を増やす方法ではどうか、など論議されましたが、穂肥の2回施用は、本年同様に来年も検討し、もう少しデータを積み重ねることにしました。酒米づくりには、穂肥の回数を増やすことが品質・収量ともに高める一石二鳥とは必ずしも言えない面があるからです。
最後にグループが再確認したこと、それは施肥法・水管理・適期刈り取り・乾燥調整など、これまで言われ続けてきた酒米づくりの基本技術、その励行にあるということでした。
「この指とまれ」グループの米づくり談義が、賑わう山形の夜で一層盛り上がったことはもちろんです。酒未来が醸す酒を飲みかわしながら。



 

2012年12月17日 10:25