雪解けの遅れと今年の米づくり

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    西川町大井沢にて(右:月山、中:姥が岳、左:湯殿山3月29日) 

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  前線2012は関東付近とか。でも、山形では吹く風は冷たく、県内の山間~中山間部はまだ深い雪の中です。
 県内の積雪状況(4月1日現在)は、大蔵村肘折313cm(今冬の最深積雪408cm)を筆頭に、西川町大井沢255cm(同312cm)、尾花沢市130cm(同238cm)、金山町100cm(同156cm)となっています。
 写真は3月19日に西川町大井沢の雪景色を撮ったものですが、電柱の半分近くが雪に埋もれていました。ちなみに、昭和59年(1984)は、300cmと記録されています。
 これほどに積もった雪はいずれは消えますが、それはいつだろうか。気になります。そこで、4月1日の積雪深Xと、4月1日から消雪日(積雪0cm)までの日平均気温の積算値Yとの関係から、消雪日を予想してみました。上のグラフです。XとYには当然ながら高い相関関係がみられ、両者は
  Y=10.3+0.75X
の一次式で表せます。
 この関係式から,西川町大井沢が消雪日を迎えるのは、5月5日ころ、大蔵村肘折は5月10日ころと推定されます。ただし、4月1日以降の気温が平年並みに経過すると仮定した場合です。雨が多かったり、春うららが続けば、融雪はもっと早まるでしょう。
 県内で最も雪解けが早い山形市近郊の田んぼには、水が溜まったままです。この分だと、田起しの作業は遅れると見込まれます。そればかりではなく、春先に田んぼの土が乾かないと、「乾土効果」の発現が低下します。「乾土効果」とは、田んぼの土が代掻き前によく乾燥すると、田植え後から7月中旬にかけて土から供給される窒素量が増加する現象です。これは土の乾燥により、分解しやすい窒素化合物(微生物の死滅や有機物)が増加し、湛水後、微生物の働きで、稲に吸われやすい無機態窒素に変わるためです。地力窒素とも呼ばれ、米づくりにとって、茎の数をふやすのに、施肥窒素とともに重要な要素なのです。
 雪解けの遅れによる、作業の遅延、地力窒素の発現低下など、今年の米づくりにとってマイナス面が懸念されますが、半面、いつもの年よりは気を引き締めて克服しよう、というプラスの面もあります。雪国では昔から”大雪の年に不作なし”と伝えられています。これは古老たちが、大雪の年の米作りの心構えの大切さを教えた言葉ではないでしょうか。



2012年4月 2日 15:43