23年金山産:酒造好適米「出羽燦々」の品質

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           酒米の里金山の冬景色(1月30日)

 光の春というのに、酒米の里金山の町並みは、深々と降り積もる雪にすっぽりと覆われています。来る日も来る日も、雪との戦いです。県内のアメダスによれば、1月31日現在の積雪量は、大蔵村肘折の360㎝を最高に、尾花沢市200cm、金山町150㎝、山形市60cmに達しています。
 この大雪で、県内では交通障害、果樹棚やハウスの倒壊などが相次いでいます。降雪はここ2~3日は続くとのこと、一日も早く収まってくれるのを待つばかりです。
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 さて、JA金山酒米研究会は、酒造好適米「出羽燦々」の安全・安心そしてより高品質の生産ををめざし、GAP認証やメンバー全員の品質調査などの取り組みをしていることは、本ブログでたびたび取り上げています。
 それでは、23年産米の品質はどうだったでしょうか。このほど67戸のメンバーの調査がまとまりましたので、その概要を紹介しましょう。
 一言で言えば、例年よりは品質は良好ということです。上に示した「玄米千粒重とタンパク質含有量」との関係図がそれを端的に表しています。図にみられるように、22年産米(図中赤丸)に対し、23年産米(図中黒丸)は、千粒重が大きく、しかもタンパク質含有量が低いことがわかります。とくに、千粒重が大きいことが目を引きます。
 ちなみに、23年県内産の一般米は、7月19~22日の強い東風と9月2~5日のフエーン現象の影響によって、もみ殻が小さく、また稲体が消耗したため、玄米の粒は小さくなりました。これに対し、金山産「出羽燦々」の千粒重は大きくなったのはなぜか?、その要因として、
 ①中山間地の金山町では、東風やフエーンの影響が小さかった。
 ②7月中旬、8月上旬の幼穂形成期~出穂直前にかけては、平たん部より多照に恵まれたことによって、もみ殻が大きく形成され、また、出穂前の養分蓄積にプラスに働いた。
 ③研究会は、土づくり肥料の施用、ケイサン質肥料の追肥によって稲体のケイサン含量を高め、高温に強い稲体を作ることで稔りを高めた。
などなど、気象+栽培の双方の要因が共にプラスに作用したと考えられます。
 以上の要因の中でも、③は一年の取り組みだけで高い効果が表れるものでなく、年々の積み重ねで発揮されるものです。
 蔵元から信頼され、愛飲家から喜ばれる「出羽燦々」を、との思いで研究会一人ひとりが汗し生まれた米は、今年もまた芳醇な新酒を醸すことでしょう。 
 
             
                                                                                

2012年2月 1日 14:14