酒米づくりへの新たな挑戦(6)

     DSCN2356.JPG
                山形市郊外より月山を眺望(12月14日)

  松沢疎植.jpg

  JA金山酒米研究会松沢信矢会長が酒造好適米「出羽燦々」のより高品質生産をめざし挑戦する「疎植栽培」の生育・収量をサンプル調査から慣行栽培と比較しました。その結果は上の表のとおりです。
 穂数:一株当たりの穂数は疎植が明らかに多いが、㎡当たりでは慣行の85%。
 もみ数:一穂もみ数は疎植は慣行より120%と多く、とくに、2次枝梗に着くもみ数が多い。このため、㎡当たりもみ数(㎡当たり穂数×一穂もみ数)はほぼ慣行並み。
 ふるい目別の玄米重量歩合:疎植と慣行に差はみられない。
 千粒重:疎植は慣行より1gほど小さい。
 整粒歩合:疎植は慣行より明らかに高い。
 心白粒歩合:疎植が慣行よりやや低め。
 タンパク含有量:疎植と慣行に差はみられない。
 以上のことから、疎植栽培は、一株穂数、一穂もみ数が多いため、㎡当たりのもみ数は慣行並みを確保できます。反面、一穂もみ数の増加は、2次枝梗着生もみの増加によるため、その結果として、やや小粒化すると考えられます。
 大粒の酒米づくりは、これまで”密植にして主稈でとる”と言われてきました。本調査の結果でも、疎植が慣行の栽植密度(70株/坪)に比べ千粒重がやや小さくなるという結果が得られました。それに対し、整粒歩合は明らかに高く、玄米には光沢があるという特徴がみられます。
 疎植という新たな酒米づくりに挑戦して初年目、本栽培法の酒米品質に対するメリットを発揮するため、施肥法・刈り取り時期・水管理・生育調整、さらには気象変動への対応などなど、2年目に向けての課題は多くあります。松沢さんの挑戦は続きます。

2011年12月15日 11:38