アスク試験田の23年作柄について

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試験田の酒造好適米品種.jpg

 アスク試験田では、酒造好適米7品種の成育・収量・品質などを調査し、その結果は本ブログで紹介しています。本年の作柄については、現在調査を進めていますが、これまでにまとまったものを紹介しましょう。
 品種別に収量・品質の平年値(平成18~22年平均値)と比較したのが上の棒グラフです。これらを7品種の総平均値で、本年値と平年値を比較すると、
 収量  :ふるい目2.0mm以上対平年86%、2.1mm以上67%
 千粒重:早生(美山錦・羽州誉・龍の落とし子)対平年比98%、中生103%
 整粒歩合:対平年3%低
 心白粒歩合:平年並み
 玄米タンパク含有量:対平年0.4%低 
となっています。
 11月9日の本ブロブでは、23年産米は粒厚が小さいことを紹介しましたが、その影響は当然ながら試験田の作柄にも強く表れています。ふるいで選別しない粗玄米重は平年比93%であるのに対し、2.0mmふるい目での玄米重は86%、そして、2.1mmでは67%と、2.0mm以上の収量は平成17年に調査を始めてからではもっとも低い値でした。
 粒厚が小さかったのは、一次的には本年の気象経過にあったと考えられますが、モミ数の多少、モミガラの大きさ、栄養状態など、稲体側からの要因についても調査する予定です。
 一方、品質は整粒歩合がやや低下しましたが、玄米タンパク含有量は平年より0.4%低く、また、心白粒歩合は平年並みとなっています。
 以上のことから、試験田における酒造好適米品種の作柄は、収量は平年を大きく下回ったものの、品質的には比較的良好でした。
 試験田から得られたデータは、主として、その年の気象経過の影響を反映した結果です。そこからの情報を酒米生産者に提供することで、「気象変動に対応した適切な施肥法・水管理などの技術を講ずる」、酒米づくりに汗する生産者に、いささかでも役立てればと思っています。
 

2011年11月22日 15:47