出穂を迎えた幻の酒米「酒の華」
( 山辺町作谷沢にて)
幻の酒米「酒の華」、今から90数年前に創選
された本品種は、中沖酒造(山形県川西町)で復活し、低温発酵で醸した純米酒は多くの愛飲家に親しまれています。
しかし、復活したとはいえ、長年月を経過したことで、その特性には変異を生じ、「酒の華」本来のものが失われているのでないか、「酒の華」はどのような特性をもっていたのだろうか?
それを知る唯一の手掛かりが山形県農事試験場が昭和6~11年に試験した「酒造米用品種比較試験」の成績データです(データは2010年6月16日の本ブログにて紹介)。
そこで、2010年、中沖酒造が保存している種子を分けてもらい、アスク試験田でその特性を調べました。植え付けた500株の出穂日・稈長・芒の有無・?先色を田んぼでチェック、さらに収穫後には心白粒歩合、玄米千粒重を調査し、最終的には成績書のデータに符合する5株を選抜しました。
本年は、選抜した5株を系統に展開、その特性を詳細に調査することにしました。8月2日には、5系統が一斉に出穂を迎えました。系統間にはバラツキはみられませんでした。また、草丈や葉色の形質も揃っています。成熟期には稈長などの形態的特性を、収穫後には心白粒歩合・玄米千粒重などの品質特性を調査します。
こうした調査・選抜を数年繰り返すことで特性が固定し、「酒の華」が甦るものと期待しています。
アスク試験田では、「酒の華」と同時代に妍を競ったであろう「京の華」がひときわ長い草姿でやや遅れての出穂を迎えています。
穂が出揃ったアスク試験田
2011年8月10日 13:05