出穂を迎えた幻の酒米「酒の華」

   DSCN1851.JPG             ( 山辺町作谷沢にて)

 幻の酒米「酒の華」、今から90数年前に創選DSCN1845.JPG
された本品種は、中沖酒造(山形県川西町)で復活し、低温発酵で醸した純米酒は多くの愛飲家に親しまれています。
 しかし、復活したとはいえ、長年月を経過したことで、その特性には変異を生じ、「酒の華」本来のものが失われているのでないか、「酒の華」はどのような特性をもっていたのだろうか?
 それを知る唯一の手掛かりが山形県農事試験場が昭和6~11年に試験した「酒造米用品種比較試験」の成績データです(データは2010年6月16日の本ブログにて紹介)。
 そこで、2010年、中沖酒造が保存している種子を分けてもらい、アスク試験田でその特性を調べました。植え付けた500株の出穂日・稈長・芒の有無・?先色を田んぼでチェック、さらに収穫後には心白粒歩合、玄米千粒重を調査し、最終的には成績書のデータに符合する5株を選抜しました。
 本年は、選抜した5株を系統に展開、その特性を詳細に調査することにしました。8月2日には、5系統が一斉に出穂を迎えました。系統間にはバラツキはみられませんでした。また、草丈や葉色の形質も揃っています。成熟期には稈長などの形態的特性を、収穫後には心白粒歩合・玄米千粒重などの品質特性を調査します。
 こうした調査・選抜を数年繰り返すことで特性が固定し、「酒の華」が甦るものと期待しています。
 アスク試験田では、「酒の華」と同時代に妍を競ったであろう「京の華」がひときわ長い草姿でやや遅れての出穂を迎えています。
DSCN1838.JPG DSCN1846.JPG 
                  穂が出揃ったアスク試験田    



2011年8月10日 13:05