暑さが大好き"稲の花"

      花.JPG
 アスク試験田の早生品種「はなの舞」、「羽州誉」、「龍の落とし子」は穂が出揃いました。出穂は前年並みと早く、平年より3日早まっています。
 出穂(しゅっすい)した一本の穂には平均して90粒ほどの花(頴花)がびっしりとついています。この花がもみ(米)になるのです。ほとんど注目されることもない稲の花ですが、夏休みの自由研究に稲の花を観察してみてはいかがでしょうか。
 稲の花は、二枚の緑色の頴(えい)で包まれています。この頴が後に硬く黄色になって”もみがら”になるものです。中の雄しべと雌しべを保護しています。
 頴の中には、その基部に鱗被(りんぴ)という二つのふくらみがあります。開花のときになると鱗被が急にふくれ、閉じていた二枚の頴が45°ほどに開きます。これが稲の開花です。
 鱗被の上には6本の雄しべがあります。頴が開き始めるとともに雄しべの花糸が急に伸びて雄しべの葯(やく)を頴の外に出します。葯の中にはたくさんの花粉がつまっていて、葯の壁が破れると外に飛び出します。
 雄しべに囲まれて、1本の雌しべがあります。雌しべの先は二股に分かれて広がり、その先の柱頭(ちゅうとう)と呼ばれる部分には毛がたくさん生えています。これは花粉がうまく着くようになるためです。
 稲は出穂すると、すぐその日に上部の花から次々に開花を始めますが、不思議なことに、開花は必ず午前9時頃から始まり、正午を過ぎると開花しません。ひとつの花が開花している時間は1~2時間です。そして、開花に最適な温度は30~35℃です。
 ギラギラ照りつける太陽のもとで、午前中のわずか数時間、小さな稲の花が田んぼ一面に一斉に咲き誇る様は、地味な稲の一生の中で、もっとも華やかな一瞬かもしれません。
DSCN1809.JPGDSCN1803.JPG
             早生品種「はなの舞」の出穂と開花

2011年7月29日 10:30