アスク試験田の成育状況(6月30日)
梅雨空のむし暑い日が続いています。6月30日現在のアスク試験田の成育は、平年に比べ、草丈はやや長く、茎数はやや少ない、葉数は並みという状況です。
これは、6月下旬が最低気温が高く、日照時間が少ない気象で経過したためと考えられます。
なお、今回の調査から、葉色(SPAD値)が新たに加わりました。葉色というのは、葉に含まれる葉緑素(クロロフィル)量をSPAD値(葉緑素含量を示す値)として表す計測器で測定した値です。
葉色はイネの生育時期別の健康度を表すのみならず、高品質米づくりの決め手でもある穂肥の施用を判定する上で、さらには玄米中のタンパク含有量を予測する上で、大切な情報を与えてくれます。このため、良食味米品種「はえぬき」・「つや姫」の栽培にとって、葉色の測定は不可欠となっています。データも多く蓄積されています。
残念ながら、酒造好適米品種の葉色データは多くはありません。酒米づくりに葉色データが活用されている場面もほとんどないようです。”経験と勘”の酒米づくりから”データに基づいた科学的な”酒米づくりへ、アスク試験田における葉色の測定とデータの積み重ねはその一歩になるでしょう。
葉色を測定(39.3) 6月30日の成育状況
さて、これからが同一株の茎のなかで、穂をつけるもの(有効茎という)とつけないもの(無効茎という)にわかれます。無効茎の発生をできるだけ抑えるのが7月上旬の栽培ポイントになります。
そのための方法が、作溝・中干しという作業です。今、アスク試験田の周辺では、田んぼに何条かの溝を掘る作業が盛んに行われています(作溝)。作溝した後は、10~15日間ほど、水を入れず、田んぼにひび割れができる程度まで干します(中干し)。こうすることで、無効茎の発生を抑え、根に酸素を供給し健全な成育を促します。そればかりではありません。土を固く締めることで、イネ刈りではコンバインの稼働を容易にします。
むし暑い中での作溝作業ですが、「備えあれば患いなし」、「濡れぬ先の傘」などなどの諺が当てはまる先人が生みだした技術でもあるのです。そして、再び田んぼに水が入る頃、茎の根元には幼穂が生まれてくるのです。
作溝作業
2011年7月 1日 12:06