清明の時節、米づくりスタート

DSCN1209.JPG 花が咲き始め、万物に清明の気があふれてくる4月5日頃を、二十四節気の一つ清明と呼んでいます。
 中国の詩人杜牧は「清明の時節雨粉粉(ふんぷん)・・・・牧童遥かに指す杏花の村」と詠んでいますが、山形は、これまでの雪がちらついていた空から一転、アスク試験田からは、陽春の空に浮かぶ残雪の月山を眺望できます。
 さあ、今年の米づくりスタートです。手始めの作業が、アスク試験田に作付する「羽州誉」「龍の落とし子」「山酒4号(玉苗)」「酒未来」「改良信交」「京の華」の酒造好適米品種の種子の塩水選です。
 塩水選は、良く充実したタネを選ぶ作業で、米づくりにとってもっとも基本的な技術です。水10リットルに塩2.1kgを入れ、よくかき混ぜると比重1.13の塩水ができます。この塩水にタネを入れると、よく稔り充実したタネは沈み、稔りの不良なタネは浮きます。沈んだタネを水洗いし、その後、10日間ほど水漬けし発芽に必要な水分を十分に吸わせます。
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 塩水選                      今年も平吹正直君の子供たちが手伝ってくれました

 田んぼではクロ(畦畔)塗り作業が行われています。大型トラクターの後部に装着した機械がほどよく湿った田んぼの土を、畦畔に壁のように塗りつけます。この作業をすることで、田んぼからの漏水を防ぎ、代掻きや田植後の水管理が楽になります。”備えあれば患いなし”です。かつて、クロ塗りは鍬を使っての重労働でした。それが今では、トラクターが100メートルの畦畔をあっという間に仕上げてしまいます。
 宮城・福島などで震災の痛手を受けた田んぼがある中で、米づくりができる、このことに感謝しながらも、一抹の不安を抱きながらの今年のスタートです。
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 クロ塗り作業(山口泰弘君)    陽春の空に浮かぶ月山(山形市郊外にて)

2011年4月 6日 13:01