アスク試験田での酒造好適米品種の作柄について
アスク試験田における酒造好適米品種の22年の調査結果がまとまりました。その一部を紹介しましょう。
試験田には酒造好適米7品種、美山錦(早生)、羽州誉(早生)、龍の落とし子(早生)、出羽燦々(中生)、出羽の里(中生)、山酒4号(玉苗:中生)、酒未来(中生)が作付されています。
本試験は、平成17年に開始し、生育および収量・品質調査を行い、その結果は酒米生産者への情報提供として活用されています。
22年の結果を平年値(平成17~21
の平均値)と比較したのが右の棒グラフです。グラフからは
収量: 平年の106%(全平均)
千粒重:平年の103%
整粒歩合:平年並み
心白粒歩合:平年の15.3%高
玄米タンパク含有率:平年並み
~やや高め
であることがわかります。
22年は出穂から刈取期にかけて異常高温に見舞われたため、玄米タンパク含有率はかなり高くなるのでないかと懸念されましたが、結果は平年並み~やや高めでした。この要因のひとつには、出穂後の気温経過が、最高気温は高かったものの、最低気温との差が10℃前後と比較的大きかったためでないかと考えられます(2ページの図)。
これに対し、心白粒歩合は平年より著しく高くなっていますが、これは腹白状の心白がいずれの品種においても多かったためです。また、背白粒、基白粒などの白粒の多さも目立ちました。高温による影響と思われます。
以上のことから、アスク試験田における酒造好適米品種の作柄は、収量・粒重は平年を上回ったものの、品質的には白粒が目立ち良好とはいえなかったようです。
試験田から得られるデータは、その年の気象の影響を反映した結果です。これらのデータから得られた情報を「生産者に流す、そして生産者は気象変動に対応した適切な技術を講ずる」、アスク試験田からの情報提供が、より高品質の酒米づくりに役立ればと思っています。
刈取り時の試験田
2011年2月 9日 15:42