猛暑の中、復古品種健在

 処暑 を迎えたというのに山形も依然として暑い日が続いています。この猛暑のなか、100年以上も前に誕生した品種「亀の尾」と「豊国」が、暑さに負けずに育っている田んぼを見てきました。。両品種とも、酒米として作られています。
 「亀の尾」は本ホームページで紹介していますので割愛し、「豊国」について紹介しましょう。「豊国」は明治36年(1903年)に、山形県東田川郡十六合村(現庄内町)の檜山幸吉翁が、「文六」の変異体を選抜して育成したものです。山形県全体では、大正13年の最盛期には1万3939ha作付されています。
 その特性は、丈が長く、分げつが少なく、漂白がきくため、草履DSCN0301.JPG表の製造にもっとも適していたということです。当時、草履表の生産が盛んであった山形県西村山郡谷地町(現河北町)で、とくに多く栽培され、農家の副業としても貢献したとされています。
 「豊国」はそのまれな特性が、米以外に、ワラも農家の経済を潤したという点で、特異的な品種であったのです。
 草履表の製造は、合成資材の開発とともに様
相を一変し、それとともに「豊国」も姿を消しまDSCN0748.JPGす。その「豊国」を酒米として甦らせたのが寒河江市の千代寿虎屋です。
 107歳を迎えた「豊国」は、特性でもあるモミの先を紅色に染め、暑さを懸命にこらえているように見えました。処暑を過ぎ、涼しさが戻る頃、長い穂はたわわに実り、今年もきっとおいしい酒を醸してくれるでしょう。


        

 

2010年8月23日 13:06